賢者タウとその弟子サトルの物語。サトルが日常のいろいろなことを賢者タウに尋ねます。あなたも賢者タウ になったつもりで考えてみましょう。
春はスタートの季節!
先生! こんにちは。
おお、久しぶりじゃな。
お元気でしたか? すっかり春になりましたね。なんだかウキウキします。
うむ。春はスタートの季節だからな。
そうですね! いたるところに新入生や新入社員がいます。初々しいからすぐにわかりますよ。
あれ? 今日は先生もなんだか雰囲気が違いますね。
そうか! スポーツウエアだ。珍しいですね。
おお、気づいたか。これからマラソンをしようと思っておったんじゃ。ワシも若いもんに負けておらんぞ!
さすがだなあ。
ところでご相談なんですが、僕の生徒さんで、昨年大学を出て、IT企業に就職した女性がいるんです。彼女は未経験ながら花形のシステム開発部に配属されたそうです。
ほう、良かったじゃないか!
はい、ですが彼女、もう辞めたいって言うんです。
なんじゃ、どうしたんじゃ?
その会社は、お給料も高ければ、プレッシャーも高い職場だそうです。彼女は、同じ失敗を繰り返してしまい、上司から厳しく叱責されて、すっかり落ち込んでしまったんです。
もちろん、彼女もマスターコースの初級まで学んでいるんですが、なかなか受け身の意識から抜け出せないようです。
うむ。学生時代と違って、社会に出れば思うようにいかないことはたくさんある。
だが、あこがれの会社に入れたのだろう。すぐに諦めるのはもったいないぞ。本来、怒ってくれる人がいるのは幸せなことじゃ。自分を励ましながら、今は会社に貢献できるように能力を一つ一つ積み上げていくことが大切な時期じゃ。恵まれた環境にいることを忘れてはいかんぞ。
そうですね。何かほかにアドバイスできることはあるでしょうか。
プレッシャーを利用しよう
そうじゃな。新入社員も増える時期だから、少し話そう。
学生から社会人になるなどライフステージが変わるときこそ、意識的に脳の使い方を変えていくときじゃ。社会に出たら、学生時代のようにお客様気分でいるとどんどん苦しくなる。学生のときは養ってもらっているが、今度は逆の立場になるからじゃ。受け身の価値観のままではいかんのだ。これが良くわからないと、ちょっと辛いことがあるとすぐに逃げ出すことになってしまうのじゃ。要するに、心がグニャグニャで柔らかすぎるということじゃな。
心の柔らかさは、他者への共感や思いやりをつくるには必要だが、仕事においては、迷いや弱さになる。職場では、心を金庫にしまうぐらいがちょうどいいんじゃ。特に女性はもともと受け身で迷いやすいから注意が必要じゃ。
ダイヤモンドのように価値あるものは超高圧の環境でつくられる。それと同じで、プレッシャーがある環境でこそ、早く確実に実力が身につくんじゃよ。それは一点集中できるからじゃ。
だから、厳しい上司は未来の自分だと思って、プレッシャーを利用するぐらいになってほしいものだ。「絶対誇らしい自分になる!」と決意して、すでにある環境を戦略的に活用するんじゃ。
ああ、本当にそうですね。何かを変えたいなら、これまでと同じパターンではいけないですね。
そうじゃ。人生のターニングポイント(転機)こそ、脳の使い方を変えるとき、そう覚えておきなさい。
さて、走ってこようかな。走ると発想が変わり、夢が広がるからのう! 脳を変えたければ走ることじゃ!
僕もお伴させてください!
おう! ぼやぼやしていると置いていくぞ!
2023年4月発行TAWプレスに掲載