賢者タウとその弟子サトルの物語。サトルが日常のいろいろなことを賢者タウに尋ねます。あなたも賢者タウ になったつもりで考えてみましょう。
こんにちは!
おお、久しぶりじゃな。
はい。今、僕、「断捨離」にはまっていまして、毎日、大量のモノを捨てているんです。
ほほう。珍しいのう。知識にしろ、モノにしろ収集グセがあったじゃないか。
そうなんです。捨てられない性格の上に、本でも、CDでも、ゲームでも、はまると熱中してどんどん集めちゃうんです。
それを手放すというわけか。
はい。これまで大量のモノに囲まれて暮らしていたんですが、これじゃあいけないと思ったんです。 フラクタル心理学でも、こころと身体、家は相似形と言うじゃないですか。何がどこにあるかわからない雑然とした部屋を見ていて、これって自分の脳内と同じだと思ったんですよね。
ほほう。どんなマイナスに気づいたんじゃ?
いろいろありますが、例えば、何度も同じものを買ってしまったり、探しものに時間を取られたり、ホコリも溜まりやすかったです。モノが多いと掃除もできないんですよね。母に、「サトルはいつもイライラしている」と言われて、ようやくモノが多いことのマイナスを認識しました。
そうじゃな。
部屋がモノで埋まっているということは、脳内も同じような状態じゃ。そんな人は、日々の生活の中で優先順位をつけることが苦手になっていく。すると、自分にとって本当に大切なことがわからなくなるから、人生が淀んでくるんじゃ。だから、行き詰まっている人の家はたいてい汚いし、モノで溢れかえっているぞ。
それがもっとひどくなると、ゴミ屋敷になっていく。そうなると、もはや何も選択できないから、内面の空虚さをガラクタで埋め続けるしかなくなるんじゃ。悪循環じゃな。
反対に、整った部屋に住んでいる人は、すっきりと決断も早くなる。人生は選択の連続だから、そのような人には、自然と良いチャンスも巡ってくるんじゃ。
だから、日々、直接五感で味わう環境を整えることは、本当に大切なことなんじゃ。直接五感こそ現実じゃ。
はい。肝に銘じます!
ついでだから、もう少し環境の話をしよう。入学、就職、転職、結婚、離婚など、大きな人生の節目は、たいてい引っ越しを伴うことが多い。
そういえば、そうですね 。
これなども、こころと環境の相似形の顕れじゃ。
ということは、人生を早く変えたいならば、住む場所(環境)を変えてしまうことも一つの手なんじゃ。孟母三遷の教えもあるじゃろう。中国の思想家、孟子の母は、幼い我が子のために教育に最適な環境を求めて三度居を移し、そのお陰で孟子は偉大な人物になったという故事じゃ。つまり、環境にフィードバックされてこころの変化が加速し、望みの現実化も早まるというわけじゃ。つきあう人、見ているもの、触るもの、そういった外側の環境に先に投資するにはエネルギーも必要じゃが、その分リターンも大きいんじゃ。なにより、引っ越しを機会にモノも整理できるしな。 いずれにせよ、自分の環境にもっと意識的に責任を持ちなさい。
はい! 環境をおざなりにしていると怖いですね。だけど、僕なんか、「断捨離」をしても、時間がたつとまたモノがたまってしまうんです。
そうじゃな。整理は一度すればいいというものではない。脳内も同じじゃ。無意識に生きていると、どうしても被害者意識(受け身意識)が積み上がっていく。だからこそ、日々、意識的にフラクタル心理学の考えを取り入れていくことが大切なんじゃ。
整理整頓もフラクタル心理学も、呼吸するぐらい当たり前になれば、きっと素晴らしい人生になるぞ。
はい! 呼吸するぐらい当たり前、いいですね! よ〜し、断捨離するぞ!
うむ。その調子じゃ!