賢者タウとその弟子サトルの物語。サトルが日常のいろいろなことを賢者タウに尋ねます。あなたも賢者タウ になったつもりで考えてみましょう。
先生〜!
おお、サトルか。ちょうどお茶にしようとしていたところじゃ。飲んでいきなさい。
ありがとうございます! いや〜、なんとなく予感がして、近所の和菓子屋さんで栗まんじゅうを買ってきたところです。
ほほう。ベストタイミングじゃのう。気が利くじゃないか。
へへへ。実はお聞きしたいことがあって。
なんじゃ。
自分の能力って、なかなかわかりませんねえ。先日、セッションした女性なんですが、自分には何も能力がないって言うんです。
ほう。
会社の管理部門でしか働いたことがなくて、とりたてて自慢できる技能や能力が何もないと言うんですよ。いろいろ伺っていると、実際はよくできる方なのですが、ご本人は限界を感じているようです。モヤモヤしたままセッションが終わってしまいました。
後からメールが来たんですが、今、有給休暇をとって南の島で過ごしているとのことでした。
ふーん。要は休みたかったんじゃな。自分のエネルギーが下がっているときは、都会ではなく海や山の近くに行きたくなるものじゃ。それはそれでいいじゃないか。人生のひととき、大自然に癒してもらうんじゃな。
心を変える時期は、エネルギーがいったん下がるから「眠くてしょうがない」と言う人もいるくらいじゃ。
そうですね。
ところで、どうしたら自分の可能性に気づけるのでしょうか
まさに、フラクタル心理学中級講座第一部のテーマじゃ。中級では、能力の制限を外すワークをする。一般的に、多くの人は、潜在的に持っている宝に気づいていない。宝の持ち腐れというやつじゃな。
そうだと思います。
例えば、「私は6才の頃ドイツに住んでいた」と言う人がいたとする。それを聞いてどう思う?
すごいですね! うらやましいですよ。海外で子どもの頃を過ごすなんてあこがれです。
じゃが、本人はこんな言い方をするんじゃ。
「すごくなんかないですよ。住んだといっても1,2年です。親の仕事の関係で連れて行かれたので、何も覚えていないですよ」
こんな風に、本人は自分の体験を評価せず、むしろ、親に振り回されたぐらいに思っていたりするんじゃ。
そういう人いますよね。すごい体験しているのに、全く評価していないんです。親を恨んでいる人もいるくらいです。
そうじゃ。なら、自分にとっては意味のない体験を、なぜ人はすごいと思うのかな? 人から見れば、自分にはできない体験だからで、つまりそれは、その人の親が貴重な体験を現実化する能力を持っていたということじゃな。海外体験ならば、語学力というより冒険心や挑戦力とかじゃな。
だから、講座では、家族に見る能力を正当に評価できるようにしていく。必要に応じて自分もその能力を育てて、使えるようにするんじゃ。家族にあるなら、自分にもあるからじゃ。そして、制限をできるだけ外して5カ年計画を立てる。計画とは方向性じゃ。方向性があるからこそ、マイナスだと思っていた過去の体験だって「これはどう役立つだろう」という新しい視点で再評価できるようになるんじゃ。もちろん他人の意見を聞くことでわかることもたくさんあるぞ。
実りの秋じゃ。埋もれた宝をもっと探してごらん。
ありがとうございます! どうやら、僕も宝の持ち腐れがたくさんありそうです。自分の過去を改めて書き出してみます。やる気が出てきました!
その調子じゃ。
ところで、この栗まんじゅうは美味しいのう〜。
2021年11月発行TAWプレスに掲載