賢者タウとその弟子サトルの物語。サトルが日常のいろいろなことを賢者タウに尋ねます。あなたも賢者タウ になったつもりで考えてみましょう。
こんにちは!
おお、おまえが来るのを首を長くして待っておったぞ。
いや〜、なんか嬉しいなあ。先生からそんな風に言われると。
いや、いや(ゴホン!)。
手紙が来たんじゃ。「あなたの弟子のおかげで親子仲が良くなった」と感謝されてな。いい仕事をしているようじゃないか。
いや〜、なんだか嬉しいな。Aさんですね。娘さんがカウンセリングを受けてくれたんです。お父さんが横暴で全く言うことを聞いてくれないという相談でした。
そうか。親はしつけと言い、子は横暴と言う。よくあることじゃ。
はい。だから、フラクタル心理学の「されたはしたこと」の法則をつかって、「親よりも先に自分が横暴だ」というシーンを思い出してもらおうと思ったんです。でも、なかなかうまくいかなくて。子どもは基本的に親に依存しているし、一般的に弱い存在だと考えられていますからね。
うむ。それでどうしたのじゃ?
はい。それで、説明の仕方を変えてみたんです。
「言葉を大げさにすると、今、あなたは自分が被害者だと思っているということですね。すると、お父さんは加害者だということになります。これは表裏一体の関係で、コインの裏表のように互いを存在させる要素です。だから、あなたが自分を被害者だと思っているうちは、加害者のお父さんはいなくなりません。思考が現実化していく世界なので、お父さんはひどい人だと思い続けると、お父さんが言うこと、やることすべてが悪いことのように思えてきます。だから、あなたはいつまでも被害者の立場から抜けられないんですよ」
そう言うと、彼女の顔つきが変わってきて、僕の話を真剣に聞くようになりました。
ほほう。うまいことを言うじゃないか
いや〜、あのときは、いっぱいいっぱいでした。
うむ。カウンセリングでは、相談者のエネルギーの収支バランスを整えることが大切な視点じゃ。自分が被害者なら、必ず外側に加害者を作ってしまう。それをなくしたいなら、まず、コインをひっくり返すんじゃ。つまり、加害者の自分を認識すればいいということになる。人はたいてい被害者の記憶から始まるから「インナーチャイルド修正法」では現在の感情を初めて感じた子どもの頃のシーンに戻り、そこで加害者の自分を思い出させようとする。それは、種の段階から修正するためじゃ。
加害者として自分の姿が認識され、これまでどれほど父親を攻撃してきたかがわかると、罪悪感さえ感じて、がっくりするじゃろう。すると、被害者の自分はもはや存在できなくなる。それでこそ、エネルギーがプラスマイナス・ゼロとなりコインそのものが消滅するというわけじゃ。もちろん、この理解をしっかりインナーチャイルドに伝えていく作業は必要じゃ。
その上で、コインを超えた第三の道を選択していく。それこそが、「思考パターンの修正」の真髄なんじゃよ。
わかるかのう。
はい! フラクタル心理学って、本当に脳がスカッとしますねえ。
そうじゃ。ほとんどの人は愛を勘違いしている。それを知るだけでも、コインがひっくり返ることもあるぞ。「親から抑圧された」と感じる子どもは多いわけじゃが、子どもの愛の定義は、「自分のしてほしいようにやってくれること」だから、ほとんどの人が勘違いのコインをどこかにもったまま生きているわけじゃ。
いや〜、もっともっとフラクタル心理学を広めていかなきゃ! 頑張るぞ!
その調子じゃ!