北海道の村議会議員に初当選して!

自分のやりたいことを探るうちに、周りから勧められていた議員への道が開けたという木村優子さんからお聞きしたお話です。

村議会議員
                木村優子さん
                 北海道在住

講座の未来誘導で政治家である自分のイメージを見たことが現実となりました

主人や両親に対する思いの共通点

私も主人ももともと関西出身でしたが、義父母が北海道の十勝に移住したあとを追って、8年前に家族で移住しました。3年ほど同居してから家を新築し、主人と小学校1年生の息子と保育園年中の娘と4人で暮らし始めました。娘が保育園に上がってからは、村役場の総務課に嘱託職員として勤めていました。

フラクタル心理学のことは、講座を受けた友人から聞いて興味を持ち、2017年に初めて無料カウンセリングを受けました。促されながら日常のことを話していくと、主人に振り回されて、我慢させられているという思いが出てきました。カウンセラーから「ご主人に対する思いは、ご両親との関係に起因しています」と言われて、その仕組みが知りたくなり、すぐにマスターコース入門講座と家族関係コースを受講しました。

講座で主人や両親に対する思いを紐解いていくと、共働きなのに、休みの日にゴロゴロしている主人にイライラして、「何で私ばかりが家のことをやらなければいけないの? もっと手伝ってほしい」と思っているとわかりました。そして、父や母に対しても同じように思っていたことに気づいたのです。

父は漁師でしたので、家にいる時はほとんど次の漁のために寝ていました。大きな声を出したら怒られますから、私と妹や弟は家では静かに過ごすしかありませんでした。朝からパートに出ている母の代わりに、家事を手伝わなければならず、いつも我慢させられていると思っていました。

講座では、「ご両親が外で大変な思いをして働いていることや、家事をさせるのは躾ともわからず、恨みがましい思いを持ったのです。子どものときの勘違いを取らないと、ご主人への思いも解消しません」と言われました。そこで、「両親が一生懸命に働いてくれたお陰で、自由な生活ができたんだよ。愛があったからこそ厳しく躾けられたし、そのお陰で今のあなたがあるんだよ」と、深層意識のインナーチャイルド*に教えました。

次第に、両親や主人に対して感謝の念が湧いてきて、主人のお陰で今の生活があるのだから、家にいる時ぐらいはくつろいでもらいたい、子どもたちと遊んでくれるだけで、ありがたいと思えるようになったのです。

中級講座で未来のイメージを見る

村役場で働き始めて1年半が経つと、議会事務局に異動になり、議会の書記をするようになりました。これまで子育てや身の回りのことで精一杯でしたが、村づくりの情報に触れる毎日となり、自然と議論の場に出席し、村政を身近に考えるようになりました。

この頃、中級講座で未来誘導のワークをすると、イメージのなかで、どこか外国の広場で私が演説しているシーンを見ました。私は政治家としてまちづくりを率先して進めているようでした。

その後の未来を描く5カ年計画のワークでは、そのときのイメージから、将来の目標として村の教育長になりたいと書きました。私は中学高校の英語の教員の資格を持ち、留学経験もあり、加えてこの頃、通信教育で小学校英語指導者の資格も取ったので、いずれ英語教育に携わりたいと思っていたのです。

村長と話をする機会があり、保育園から英語教育に取り組む自治体も増えてきているので、村も取り組んでみてはどうかと進言すると、保育園でテスト授業をさせてもらえることになりました。その後の実際の授業はネイティブの外国人が担当となりましたが、きっかけを作ることができました。

ある時、議会事務局の局長に、村政に関する私の考えを述べると、「将来的には、議員の道を考えてもいいのではないか」と言われましたが、局長のその場限りの思いつきだろうとしか受け止めていませんでした。

議員に欠員が出て立候補を勧められて

2年前の地方統一選挙で、村議会議員が定員8名のところ候補者が7名で1名欠員となり、村では今年6月に補欠選挙が予定されていました

議員の平均年齢は64歳と高く、子育て支援に力を入れようにも子育て世代の議員はおらず、村には移住者も多いのですが、彼らの意見を伝える立場の人がいない状況でした。私なら議会の内容も知っていて、条件にすべて当てはまるから、「立候補してはどうか?」と、再び局長や現職議員の方から声が掛かったのです。この時も、私には教育長という目標もあり、真剣に受け止めることはありませんでした。

その後、上級講座の人生乗り換えレポートのワークで、これまでの学歴や経歴を全部外して、純粋に自分がやりたいことは何かを考えていくと、家族や周りの人、村の人に幸せになって欲しいという思いに辿り着きました。「やっぱり村の仕事がしたい。議員になろう!」と心が決まったのです。

今から政治や選挙を勉強して、3年後の統一選挙に立候補したいと講座で話すと、受講生仲間から「議員になろうという思いがあるなら、来年の補欠選挙に出てはどうか」と、ここでも補欠選挙への出馬を勧められて、本気で翌年の出馬を考えることにしました。

仲間に支えられて補欠選挙に出馬

上級修了後、数ヵ月経つと迷いが出てきました。議会の仕事は知っていても、選挙に関わったことはなく、お金がかかる選挙にあえて今チャレンジすべきかと考えると、今回でなくても良いのではないかと思えてきたのです。議長にそれを話すと、「統一選挙には現職議員も立候補して、皆がライバルになるから、出るのなら次の補欠選挙だろう」と言われました。

主人からも「子どもたちに議員や選挙に挑戦する姿を見せられるのは誰もができることじゃないし、経験値も上がり、視野も広がるだろうから、どちらが成長できるかと考えるなら挑戦する方じゃないか」と背中を押されました。フラクタル心理学で「より成長できる方向を選ぶ」という考え方を学んでいたので、主人の言葉は身に染みました。

こうして補欠選挙への出馬を決心すると、周りが動き出しました。小さい子どもたちに英語に触れてほしいと始めた英語サークルの保護者や子育てサークルの方が中心となって後援会ができ、そこから支援者の輪が広がり、ママ友さんとそのご家族やお友達、元議員の方や仕事でつながりがある方、同じ行政区の方など色々な方が協力、応援してくれました

地元でフラクタル心理学を学んだ仲間5人は、精神的に支えてくれただけでなく、後援会の活動でも全面的に協力してくれました。私が弱音を吐くと、「大きいことをやろうとしているのだから、チャイルド*が抵抗するのは当たり前よ」と元気づけてくれました。フラクタル心理学の先生方からも、相談のたびに適切なアドバイスをいただきました。

若い世代や子育て世代の声を届けていきたい

周りに支えられながら、選挙運動を無事に乗り切り、議員に当選して、6月中旬から議会も始まりました。以前の私は「自分が正しい」という思いが強くて、人から意見や提案をされると、自分が否定され反対されたかのように捉えることがありましたが、フラクタル心理学で「周りの声は、未来の自分からのメッセージ」と学ぶと、「私のために周りが言ってくれている」と捉えられるようになり、否定されたと感じることなく、より良い決断ができるようになりました。

選挙運動での私のキャッチフレーズは「あなたと村の架け橋に」でしたが、村の人に議会やまちづくりにもっと関心を持ってもらい、議会に若い世代や子育て世代の声を届けて、村政に活かしていくつもりです。

フラクタル心理学で「思考が現実化する」と学び、自分の考える方向に望む世界をつくれるのだと知りました。声を上げて提案できる立場になったので、その分、発言にも責任が伴いますが、自分が発言して行動すれば、村政が変わり、暮らしも変えていけるでしょう。まさに議員は自分がつくりたい世界をつくっていく側の代表のような職業ですから、理想の村づくりの実現に力を尽くしていきたいと思っています。

*インナーチャイルド:深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部

2021年9月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子