息子はアメリカに旅立ち一人前に!

両親と姉兄への見下しをやめると、子どもや姪甥まで変化して。

「私が正しい」と思って息子を「ダメ人間」と見るのをやめると、長く家にいた息子がアメリカに勉強に行くことになったという駒木根尚美さんからお聞きしたお話です。

化粧品販売、フラクタル心理カウンセラー
駒木根尚美さん 東京都

息子をダメにしているのは私

息子は高校に進学するとほとんど学校に行かずに、家に引きこもるようになりました。なんとか卒業はしましたが、一か月後には「庭師になりたい」と言いだして私を驚かせました。修学旅行で行った京都で、完成された庭の美しさに感動したからだと言います。

地元の造園業で働きはじめますが、2年ほどすると、「辞めたい」と言うので、また引きこもりに戻るのかと不安になり、フラクタル心理学の講座を受けました。

「言うことも聞かないし、このままでは将来大変なことになる」と胸中を話すと、「あなたが息子さんを今の状態にしています」と講師に言われて衝撃を受けました。息子に対して「ダメ人間」と思い続けたため、息子がそのようになったというのです。私は息子を下に置いて、「私が正しいでしょ」「私の言うことを聞いていればいい」と思っているというのです。それをやめて、息子が成功しているイメージに変えるように言われました。

その日から、息子には「すばらしい才能がある」とイメージして、「もう大人だ」「できる、できる」「大丈夫、心配ない」「私が必要ではない」と心のなかで言い続けました。

すると、息子は急にアメリカに勉強に行くと言いだして、自分で手続きを済ませて、あっという間に旅立ってしまいました。息子がどうしてアメリカ行きを決めたのかは定かではありませんが、母親の私とも不仲で、学校も中途半端、就職もままならない現状を大きく変えたいと思ってのことだと思います。長い間家にいた息子が家を出て、しかもアメリカに行くなんて、これまでを考えるとあり得ないことでした。アメリカでの生活もはじまったばかりですが、そこまで奮起した息子に、エールを送ろうと思いました。

息子がアメリカに発って1年半後、娘と
共に会いに行くと、息子はたくましく成
長していました

イメージのなかで両親に謝る

私の両親は私が幼稚園のときに子連れ同士で再婚しました。母親の連れ子は長女と三女の私、次女と長男は父親の連れ子でした。両親は共稼ぎで忙しく、姉兄からもかまってもらえず、「何もしてくれないんなら親も姉兄もいらない。一人で生きていく」と思ったのでしょう。若いころに実家を出て東京に行き、芸能界でグラビアアイドルなどの仕事をしてきました。

26歳で結婚して一男一女をもうけますが、15年前に夫が亡くなると、戻ってくればいいという実家からの言葉も突っぱねて、そのまま東京で小学生だった息子と娘を育てました。その間、両親とはほとんど連絡を取ることもありませんでした。

息子がアメリカに行ったあとも引き続き受講していた講座で、「仕事で成功したいなら親御さんに謝りなさい」と言われました。拒否すると、「そうしないと仕事もうまく行きませんよ」と。脳のなかで親との関係は社会との関係と相似形になっているので、親との関係を修復しなければ、仕事で成功できないというのです。

この頃から化粧品関係の仕事をはじめていたので、「稼げるのと、稼げないのとどちらが良いですか?」と講師に問われて、しぶしぶ謝ることにしました。イメージでいいというので、朝晩、父と母に対して心のなかで「大変申し訳ありませんでした。本当にわがままでごめんなさい」と、謝りはじめたのです。

親や姉兄とのわだかまりが消える

深層意識の修正もしていきました。最初に問題点を紙に書いて、「それじゃダメでしょ、こうしたほうがいいよ」とインナーチャイルド*に話しかけ、インナーチャイルドが「そうだね」と納得すると、次にパンチ法*をしました。「『私が正しい』をやめよう」「親は正しい」「姉兄は正しい」「親も姉も兄も素晴らしい、私にないものをたくさん持っている」とパンチをしながら深層意識に言い続けました。

1ヵ月半くらいたったでしょうか。自分がどれだけ傲慢でわがままだったかがわかってきて、直接、両親に謝りに行きたいと思ったのです。

実家に帰るのは10年ぶりでした。両親がどんな反応をするのかドキドキしながら玄関を開けると、「おかえり」のひと言。文句の一つや二つ言われるのを覚悟して帰ったのに、近所から戻ったみたいに、あまりにも普通で涙が出ました。「親ってすごい…」今までいったい何を見ていたのでしょう。私のことなんてどうでも良いんだと勝手に思い込んで、実家とも距離を置いてきた自分が情けなくなりました。両親は前からずっと、そして、今もずっと私を見守ってくれていたとわかったのです。

姉兄からも「小さいときにかまってあげられなくてごめんね」と言われて、そんなふうに思ってくれていたのかと、わだかまりが消えていきました。

子どもたちも変わり見える世界が一変する

講座で、「あなたは勝手に敵を作っている」と言われていましたが、「私、頑張ってるでしょ」と常に相手の承認を求めて戦っていたのかもしれません。

両親に謝って、姉兄たちとも仲良くなると、ガードしていた壁が取れて自然体になれました。子どもたちから「うざい」と言われて、口も利いてもらえなかったのが、誕生日のメッセージや母の日のカーネーションをもらえるようになりました。親のことを認めたら子どもたちも私のことを認めてくれるようになったのです。

息子もアメリカでの生活が3年目になり、勉強しながら働くようになると、職場での相談をしてくるようになりました。その間、私もカウンセラー養成講座に通ってカウンセラーの資格も取ったので、「上司が厳しいのは、仕事を教えようとしているからで、ありがたいことなのよ」「そういう目で見てみようかな」「それがいいよ。自分が成長するんだから」と、アドバイスもして、素直に聞いてもらえるような間柄になりました。

娘もアメリカの大学に進みましたが、日本に帰ってきたときにマスターコースの入門と初級講座を受け、フラクタル心理学の話で盛り上がるようになりました。昔なら勧めても絶対に受講しなかったと思います。姪も上級講座まで修了しました。私が姉兄を立てるようになると、姪や甥とも仲良くなって、私を立ててくれるようになりました。

先日、リーダーシップコースを受講して、講師からリラックスして目標に向かったほうが成功しやすいと学び、「深刻禁止」と言われました。深刻になって心配を深掘りしていた私にはぴったりのアドバイスでした。私が思いを変えたら、それが親族すべてに波及して、見える世界が変わりました。これからは、会社でトップリーダーになることを目標に、フラクタル心理学でさらに自分を高めて、仕事で成功したいと思っています。

仕事仲間とのパーティ

*インナーチャイルド(チャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部

2019年5月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子