開業４年で２院目の歯科クリニックをオープン！

母や姉に対する思い込み

私が理事長を務める歯科クリニックで、昨年春に、スタッフがフラクタル心理学のミニセミナーを企画したことがきっかけで興味を持ち、マスターコースを受講し始めました。

入門講座で、育った家庭環境の話をした時に、講師から「この先、どうなりたいですか？」と聞かれて、「すべてがうまく回るようにしたいです」と答えると、「親との関係が一番の核になるので、そこを正さないとダメですよ」と言われました。

実家は岩手で、父は１０年前に他界しましたが、母や２人の姉との関係はうまくいっているとはいえませんでした。私は地元の歯科大学と大学院を卒業してから歯科医院の院長として勤めたのち、カナダ人と結婚してモントリオールに移住し、その後、カンボジアのプノンペンで外国人向けの歯科治療に携わってきました。その間、離れていても、母や姉たちから言われたことやされたことを、昨日のことのように思い出しては辛い気持ちになっていました。

その後離婚して、７年前に２人の息子を連れて日本に帰国しましたが、母や姉たちとは関わらないのが一番と思い、連絡を絶ってこの３年ほどは絶縁状態でした。それでも時々、罪悪感に苛まれることがあり、外国で暮らそうが、縁を切ろうが葛藤は消えなかったのです。

ところが、講座で学ぶうちに、それは私の一方的な思い込みかもしれないと思うようになりました。薬局を営んでいた母は忙しく、かまってもらえなかったと思っていましたが、実は私は自分で何でもやりたいタイプで、母の放任主義のお陰で自立心が育ちました。

また、一番上の姉だけが褒められるのに、私は母から叱られてばかりで、愛されていないと思っていたのも、一番上の姉は６歳上で、私よりできて当り前で、見当外れな嫉妬心を感じていたことや、母から叱られていたのは、私がわがままなことを言ったからで、愛情ゆえに叱ったのだとわかりました。

講師から、母に手紙を書くことを提案されて、少しずつ母のすごいところや、母からしてもらったことを書き出して、やっと母に詫びる手紙を出すと、「いろいろあったけれど、あなたのことを信じています。頑張りなさい」と母から返信がきました。母はずっと私を見守り、励まし続けてくれたのだと気づいて涙が溢れました。

今はコロナ禍で会いに行けませんが、ＬＩＮＥを送る時には「お母さん、いつもありがとうございます。今日も産んでくださったことに感謝します」と書き添えるようになりました。

思考の現実化を信じるきっかけ

毎日、車通勤で歯科医院の近くのタワー式立体駐車場を利用していますが、入出庫に１０分以上かかるのが常でした。車のなかで一色真宇先生の音声教材を聞きながら順番を待っていると、「自分に起きる現象をコントロールできる」という言葉が耳に留まり、「もし私が人生をつくっているなら、私の車を早く回ってこさせることもできるはず」と閃き、試してみることにしたのです。

パンチ法*を学んでいたので、「時間を無駄にするな。順番が早く回ってくる。 早く行動しろ」とパンチしながら自分に言い続けました。１ヵ月もしないで、一車両動いたら私の番というように、入出庫がスピーディになり、こんな風に現実化するなら、他のことも現実化できると思えるようになったのです。

リーダーの自覚が生まれ、父親の偉大さに気づく

講座で、父親を見下していると社会的地位が上がらないと学びましたが、私は気の強い母を制御できない父をどこかでバカにしていました。考えてみると、父は薬剤師として働いていた医科大学の歯学部の推薦入学を私に勧め、お金の掛かる歯学部に行かせて、歯科医への道を開いてくれたのです。父は地元の薬剤師会の会長を務めるほど信望が厚かったことも思い出し、亡き父へも手紙を書いてこれまでのことを謝りました。

また、中級講座の５ヶ年計画のワークで、クリニックの業績や分院の数などを詳細に書き出し、スタッフや患者さんの様子まで具体的にイメージするようになると、実際にクリニックの業績もぐんぐん伸びていきました。

姉たちへの思いの変化と息子たちの成長

姉たちへの気持ちも変化しました。２歳上の姉は子どもの頃から、学校では一言も喋らず、家でも無口だったのですが、無口な人は頭の回転の悪い人、普通でない人はかわいそうな人と思ってきました。上級講座でそのことを話すと、それは間違っていると講師や受講生仲間から教えられて、姉を見下してきたことに気づき、恥ずかしく思いました。

一番上の姉についても、結婚して実家の近くに住み、両親や２番目の姉を気遣ってくれたお陰で、私が東京で開業できたのだと思うと感謝しかありませんでした。

長男は、よく学校に遅刻して、成績も下から数えた方が早いくらいでしたが、私が頑張って業績を伸ばすと、成績優秀になりました。

次男は、５歳で日本語が一つもわからずに帰国したので、日本語ができないから勉強も不得意だと思ってきましたが、緊急事態宣言の時に勉強を教えると、日本語がわかっていることに気づきました。２番目の姉をそう見ていたように、次男はできない子、かわいそうな子と、私が決めつけていたのです。その後、次男は小学校５年生で、得意な英語で英検準２級に受かり、その他のテストでも１００点を取るようになりました。

ブレーンを引き寄せ、分院を開業予定

クリニックの分院を開くには法人化が必要で、２年間黒字を出せば法人化できると聞いて奮起し、１年目と２年目で黒字を出しました。今年、フラクタル心理学を学んでからはさらに業績が上がり、いよいよ法人化を進める段階になりました。

講座で、謝ることの大切さを知ったので、私のわがままから付き合いが途絶えたカンボジア在住の友人に詫びる手紙を出したところ、それがきっかけで、友人が帰国してブレーンとしてクリニックを手伝ってくれることになりました。彼女のお陰で９月には無事に法人化でき、分院開業にも着手できました。

法人としての業績がないと、銀行から融資が下りないといわれていましたが、「絶対に分院を開く」と思い続けると、これまでの業績と審美やホワイトニングに特化したクリニックとしての優位性が考慮されて、早々に融資が下り、来年２月分院オープンへとこぎつけました。

これまで、頑張ってもどこかで頭打ちになると感じてきましたが、両親や姉たちを認め、愛され見守られてきたとわかると、深い自信と安堵が得られ、リーダーとしての自覚も生まれて、業績も一気に伸びました。これからもさらなる発展のイメージを膨らませていきたいと思っています。

* パンチ法：シャドーボクシングのように言葉を発しながらパンチをする思考の修正法

2021年11月発行TAWプレスに掲載
文：（株) Mamu&Co. 藤田理香子