子育てと仕事の掛け持ちで、心身共に疲れ切っていたが、深層意識(潜在意識)の子ども心を変えると、自分の仕事に集中できるようになったという大室久美子さんからお聞きしたお話です。
ヘア・小顔サロン経営
大室久美子さん
東京都在住
深層意識(潜在意識)の子ども心を変えると、ストレスが減って仕事がうまく回り出しました
インナーチャイルド*という子ども心
6年前に主人が居酒屋を開店したのを期に、パート美容師を辞め、主人の店を手伝うようになりました。私は以前から美容師として自分の店を持つことが夢だったのですが、この状況で落ち着いてしまったらできなくなるとの焦りもあって、その4か月後に半ば強引に、美容室の一人サロンをオープンしたのです。
2つの仕事を掛け持つのは想像以上に大変でした。小学生から中学生まで3人の息子の食事作りに家事もあり、冷静に考えればわかりそうなものですが、その時はできる気がしたのです。夫から家事代行を頼んでいいと言われても躊躇して、何を選んで何をやめればいいのかわからなくなっていました。そこで、そんな状態をなんとかしたいと、3年前からマスターコースを学び始めました。
入門講座では、「インナーチャイルドという自分のなかの子ども心がさまざまな問題をつくり出す」と教えられました。ですがその時は、若い頃から一部上場の大手美容室サロンで働き、結婚して子どもができてからも、子育てをしながら、引き続き10年ほどそのサロンでパートとして働いてきたので、自分に子ども心が残っているとは思えませんでした。
誘導瞑想で自分の思いを見ていく
初級講座の誘導瞑想で子どもの頃の出来事を見ていったとき、言われたことをやらずに母から叱られ、「もういいもん、ふん!」と、そっぽを向く子どもの自分の姿をイメージのなかで見つけ、これで行き詰っているのだなと気づきました。自分が正しいと思っていて、母の言うことを聞けないのです。
その後も誘導瞑想を何度も受けて、その内容を書き起こすうちに、「できなかったらやってもらえる」「怒っていたらやってもらえる」「落ち込んでいたら許してもらえる、優しくしてもらえる」「病気やケガで弱っていたら叱られない、やらずに済む」と同じような思考がいくつも出てきました。「これって、『こうすれば叱られない上に、やらずに済む』って思ってるんじゃない?」と、インナーチャイルドの思考パターンに気づいたのです。
また、私には3歳下に弟がいるのですが、弟をライバル視して、「弟に勝つためにはいい子でいなきゃいけない、いい子でいれば親から褒められる」という思いがあったことにも気づきました。仕事を抱え込んでしまうのは、評価を得たいというこの思いからきていたのです。
さらに、誘導瞑想で母に叱られた別のシーンでは、「早く寝なさい」「そういう乱暴な言い方をやめなさい」と、躾で言われたにもかかわらず、否定されたと勘違いして「母に嫌われている」と思い込んだ自分がイメージに出てきました。そこには必ず「私よりも弟の方がかわいいんでしょ、弟は同じことをしても叱られないのに」といった嫉妬の思いがくっついていました。
すると、講師から「そうじゃないのよ、弟は赤ちゃんで、自分でできないからお母さんが世話してあげているだけで、あなたも赤ちゃんの時はしてもらったのよ」「男の子と女の子では違う部分もたくさんあるのよ」と教えられました。それでやっと、私は自分の勘違いに気づいたのです。
誘導瞑想で感情を出し、先生から勘違いを教えてもらうことを繰り返すうち、最初のうちは重苦しく感じた修正文が、心にしみてくるようになりました。
心が整理されると仕事も子育ても順調に
子ども心を変えるため、「優越感は身を滅ぼす」「すぐやる、今やる、全部やる、私が得する私の仕事」というアファメーションを自分に言い聞かせました。一色真宇先生のYouTubeの「誘導瞑想の小部屋」の動画から、自分にあてはまる修正文を見つけて聞くようにもしました。
また、母は優しかったので、私は母のことを弱い人間だと馬鹿にしていましたが、それは、母がいちいち感情的にならなかっただけで、弱いのではなく、穏やかだっただけということもわかりました。親を見下してきたとは、私はどれだけ情けなくて、恥ずかしいことをしてきたのだろうと、心のなかで母に謝りました。
中級講座で、「目の前の仕事を120%の力でする」と学び、家事の時は家事に、仕事では仕事に集中するようになると、文句やストレスが減って、気持ちも変わってきました。
夫の店は私が手伝わなくてもいいのではないかと思えるようになり、「美容室のほうに集中したい」と夫に言うと、「絶対にその方がいいよ」とすんなり言われて拍子抜けしました。「お前がいないと大変だ」と言われるのを期待していたのかもしれません。「お前のおかげだ」と評価されたくて、夫の店を手伝ってきたようです。子ども心を修正したことで、評価を得られることでなく、自分がやりたいことをやる方へ、気持ちが切り替えられたのでした。
長男はダウン症で、グズグズしてなかなか学校に行こうとしなかったのですが、私が勉強を始め、自分と向き合うようになると、自分から学校に行くようになり、今年19歳になって、一人で作業所に通うようにもなりました。次男や三男も思春期なので手こずることもありますが、私の深層意識が投影されているのだとわかるので、落ち着いて対応できるようになりました。
自分でサロンをオープンしてから、ヘアや小顔スパだけでなく、小顔講座、心理学講座も始めました。しかし高額なので受け入れてもらえないのではないか、納得していただけずに責められるのではないか、という不安が先に立ち、お客さまに勧められずにいました。
それは、母から受け入れられず、弟をライバル視していた思いが、そのままお客さまに投影されていたからでした。母は見守ってくれていたのだ、弟はライバルではなかったのだ、と気づくと、お客さまから好意的に受け止めてもらえると思えるようになり、小顔講座や心理学講座をお勧めして、喜んでいただけるようになったのです。
子ども心を変えたことで、気持ちがとても軽やかになって、自分の仕事に正面から取り組めるようになりました。サロンにいらっしゃるお客さまには、私がお客様を美しくするだけでなく、自分で自分の顔に責任をもつこと、「美しさは自分で創れるんだよ」ということを伝えていきたいと思っています。
*インナーチャイルド:深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
■大室久美子さんのヘアサロン
Hair salon trois ~トロワ~
2021年11月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子