自分を苦しめる病気を作り出していた思考を修正して、第一子出産から10年で第二子を出産したという上田裕子さんからお聞きしたお話です。
上田裕子さん
東京都在住
産後うつになって実家で療養することに
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
第一子を出産後に不調を感じて病院に行くと、めまいと診断されました。通院しても良くならず、パニック障害と病名が変わり、治療を続けますが回復せず、最終的には産後うつと診断されました。
福岡の実家に戻って入院することになり、育児は母に任せて、寝たり起きたりの療養生活が2年ほど続きました。息子が5歳になる頃には家の中のことは一通りできるまでに回復し、息子を連れて東京に戻り、主人と一緒に暮らすようになりました。
私の症状は心理的なことからきていたので、認知行動療法などの心理療法や脳科学を勉強しては、それぞれの療法を試してみました。気持ちが落ち着くこともありましたが、これで大丈夫といえるほどではなく、もっと何かできるのではないかと思っていた矢先に『ひとを変える魔法』(白石美帆著 同文舘出版)に出合いました。実際にフラクタル心理学の講座を受講してみたいと思い、入門講座をオンラインで受講しました。
病気の原因は自分の深層意識にあると知る
入門受講と同時に受けたカウンセリングで、深層意識に、病気の原因を探ってみることになりました。誘導瞑想をすると、幼い頃の私がイメージの中に現れました。幼い私は病気になったり、悪さをしたり、やんちゃな行動をして母や姉にかまってもらおうとしていました。
講師から「あなたが病気を作ったのは、かまってもらいたいからですね」と言われて驚きましたが、イメージの中で見た子供の私は、まさに病気になって母や姉の気を引こうとしていたのです。
私は4歳上に姉がいますが、実際に、私が産後うつになってから、母と姉はいつも私の病気のことを心配してくれていました。母は子育ても手伝ってくれましたし、息子を連れて東京に戻ってからも、たびたび実家から様子を見に来てくれていたのです。私は病気を使ってかまってもらおうとしていたのだと納得し、腑に落とすことができました。
病気をやめるための修正文は「かまってもらうために病気を使うのをやめなさい。お母さんはあなたのことも見ていたのに、みんながかまってくれないと、あなたが勝手に思っただけだよ。自分のことしか考えてなかったからわからなかったのよ。自分のことばかりを考えるのはやめなさい」というものでした。
その日、家に帰って、講師からいただいた修正文を読むと涙があふれました。言われたことはすべて図星で、私の現実とぴったり噛み合っていました。大変な思いをしてきたのに、それが全部、自作自演だったと知って衝撃を受け、二日間くらいは頭痛が止まらず、現実を受け入れるのに時間がかかりました。
しばらくすると気持ちに変化が起こりました。息子は小学1年生になり、幼稚園の年長から入っていたサッカーのクラブチームで、土日にも練習や試合がありましたが、その付き添いで、私も朝から応援やサポート引率で外に出るようになったのです。小学校の役員も引き受けて、月一回は会合で学校へ行ったりと、徐々に行動量も増やしていきました。
私の変化と共に、息子にも変化があり、もっと本気で練習できるチームに行きたいと言ってチームを移り、サッカーに真剣に取り組むようになったのです。
思考修正のためにパートで働き出す 夫に感謝の思いが湧いてきて
――新たに行動したことはありますか?
中級講座では、講師がどのように変わっていったのか、自身の体験談として、専業主婦の時にパートを始めたという話をしてくださいました。とにかく仕事場では何を言われても「はい」と返事をして、「ありがとうございます」と言うのを忘れないことなど、これまでの怠けた自分を、実地で修正したという話を聞いて、私も働いたほうが早いかもしれないと思いました。
講座を終えて家に帰る途中、お弁当屋さんの入口にパート募集の張り紙が貼ってあるのが目に入りました。すぐに面接を受けて、3日後にはその店で働き出しました。
これまでやりたい放題で自分ルールになっていましたが、「私はもう健康だ」と決めて、組織の中に入り、パートとしてお店のルールに従って、きちんと働こうと意を決しました。
また、私が第一子を出産したと同時に、主人も起業して新たに仕事を始めたことについて、講師から「相似形ですね」と言われました。私は子供を、主人は会社を作り、創造して成長させているということで同じだというのです。
私は病気を抱えながら子育てをして、自分だけがたいへんな思いをしてきたと感じていましたが、主人は経営者として責任を持って社員や社員の家族を養い、組織を大きくしていくのは大変なことだったに違いないと思えました。主人は外で働いているだけで何もしてくれないと思っていましたが、働いて収入を得ることが主人の子育てだとわかり、主人に対して感謝の思いが湧いてきました。
講座はカウンセラー養成講座まで進んで、フラクタル心理カウンセラーの資格を取得しました。この頃にはほとんどうつの症状はなくなっていました。実際にカウンセリングを始めるとパニック障害の方など、過去の自分と思える方が来てくださるようになりました。
未来を作るカウンセリングを受け女性誌『STORY』のカットモデルに
フラクタル心理学を学び始めて3年が過ぎ、久しぶりにカウンセリングを受けた時に、「ここからどんなことをしていきたいですか?」と未来のことを質問されました。あまり先のことを考えていなかったので、未来を作る思考を身に付けるためにマンツーマンのセッションを受けることにしました。
カウンセラーの先生からは「毎日自分ができていることを意識してください」と言われ、ないものではなく、あるものを見ていくようにして、自己信頼や自己肯定感を高めるように意識しました。
「チャイルド*を喜ばせることもしたほうがいいですよ」とアドバイスされた時には、受講生仲間から女性誌『STORY』のカットモデルの話を聞いていたことを思い出して、「美容関係のこともしてみたいです」と応えました。カウンセラーの先生からは「美容が好きなら、そういった方面でもチャイルドを活かせるのではないですか?」と言われました。
引きこもっていた時期には外見にかまう余裕もなく、外に出られるようになってからも、それほど外見を気にしてきませんでしたが、私のチャイルドは「明るいところに出たい、もっと表に出たい」と私に訴えているようでした。まずは自分のことをきれいにしようと思い、カットモデルの話を受けることにしました。
2ヵ月後には、髪を切った笑顔の私が雑誌に掲載されました。撮影ではプロのヘアメイクの方にメイクやヘアカットをしてもらい、嬉しくて涙が出るくらい、楽しい体験をすることができたのです。
思い込みを修正して妊娠
――この先したいことは他に出てきましたか?
第一子の子育ては、今となっては宝物ともいえる経験となりましたが、一方で、苦い思い出でもあったので、「この先何をしていきたいか?」と考えた時に、もう一度子供を産んで育てたいという思いが湧いてきました。
年齢もちょうど40歳でしたので、第二子が欲しいなら、そのことにちゃんと向きあわないといけないと思い、夫に自分の思いを話しました。産後うつの状態が長く続き、夫は二人目は要らないと言っていましたが、もう一回頑張って子育てしてみようかと言ってくれました。
第二子を持とうと決めて、誘導瞑想のセッションを受けることにしました。小さい頃によく母から、「男の子だと思っていたのよ」と言われていたように記憶していました。自分が男の子ではなかったから、お父さんもお母さんもがっかりしたのではないかと思っていたので、本当はどうだったのか知りたかったのです。
誘導瞑想では、イメージの中で私が生まれた場面が出てきました。男の子か女の子かはどちらでもよくて、元気に生まれたことを、ただただ喜ぶ両親の姿が映し出されました。両親の思いを知ることができ、命が生まれることの奇跡を感じることができました。その誘導瞑想の後、ほどなくして妊娠したのです。
妊娠していた時はつわりもありましたが、仕事場に出るとピタッと止むので、出産ギリギリの妊娠9ヵ月まで働きました。3年半続けたパートの仕事は自分なりにやり切ったという思いがありました。これが土台となり、「だから私はもう何が起きても大丈夫だし、これから先も何にでもチャレンジできる。私はいろいろなことができる人間だ」と思えるようになりました。
自分のしてきたことを自分で評価し、達成の感覚を得て、次の段階に進むようにしてきましたが、小さなことであっても、達成の感覚を毎日1回得るようにすると、それが人生の達成につながると思えて、自信が湧いてきました。
42歳で第二子を出産 子供を信頼できる自分になれた
――その後のことを聞かせてください
42歳の時に無事に第二子を出産しました。「男の子ですよ」と言われた時に「やったー」と思いました。長男は一緒に遊べると万々歳でしたので、同性で良かったと思いました。次男がハイハイをするようになると、「これはなめたらダメよ」と教えたり、「そこは危ないよ」と頭が当たらないように机の角を押さえたりと、長男は弟を気遣う優しい兄ぶりを発揮しています。
私が病気をしていた時は、心配するのが愛だと思っていたので、親は私を心配し、私も子供を心配していました。講座で「成長を促すことが愛」と学び、自分を信頼できるようになると、子供のことを心配することがなくなりました。子供を信頼して、成長を見守れるようになったことは、何よりも嬉しいことだと感じています。
現在は子育てをしながら、カウンセラーとしての活動を広げています。クライアントの強みや売りを潜在意識から引き出すためにセッションを行い、ビジネスの自己PR文を作成するなど、お客様のビジネスのサポートを行っています。
働くことが好きで楽しいと母親が思っていると、子供も自然に勉強やしたいことを楽しくやるようになる、と自分や周囲の母親を見ていて気づきました。将来的には、カウンセリングの仕事を通じて、母親が子育てしながら楽しく働けるようにサポートしながら、母親や子供たちの自己実現を応援していきたいと思っています。
*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
2024年10月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子