私の無意味な優越感がなくなると、娘の喘息も改善し、 夫も昇進、理想の住まいも見つかって

母に対する思い込みに気づいて深層意識(潜在意識)を変えると、嬉しい出来事ばかり起こるようになったという丸真紀さんのお話です

心理セラピスト
  丸真紀さん
  東京都

自分が気が付かなかった本当の自分を知って

――学んだきっかけをお聞かせください

ちょうど心理セラピストとして活動を始めようとしていた時に、フラクタル心理学を学ぶとクライアントさんの悩みを根本解決できると聞いて、スキルアップのためと、それから個人的な問題も解決したいと思って、2019年の年末から入門講座を受け始めました。

私は、父が公務員で、母もパートで働く、ごく一般的な家庭に育ちましたが、高校生になると、門限が他の友だちよりも早いなど、母が厳しいことに不満を持つようになりました。コギャルブームでスカートを短くして金髪にすると、母と二つ上の姉から「似合ってない、あなたは普通の格好の方がいい」と言われて、否定されたと感じました。大人になって、母と娘のカウンセリングといったセラピーも受けましたが、母への恨みがましい思いはなくなりませんでした。

高校生の時からですから、かれこれ20年ほど、「母が悪い」という思いを握りしめてきたわけですが、入門講座で「自分の思考が現実化する」と学ぶと、「悪いのは母ではなくて、私のほう?」という疑問が湧いてきました。

続けて受けた初級講座のワークで、深層意識(潜在意識)を探るための誘導瞑想をすると、イメージの中に自宅の応接間にいる子供の私が出てきました。私はソファで飛び跳ね、父の大事な洋酒や来客用の灰皿をおもちゃにして遊んでいました。その様子を講師に話すと、「応接間はお客様を通すところですよね。好きなように遊んで散らかしていますが、それはいけませんね」と言われました。

父母や姉を差し置いて、私が一番優先されるべきという思いが深層意識にあるというのです。そこで、「お前は自分がこの家で一番偉いと思ってるんだね。保護されているくせに、一人じゃ何もできないくせに、何をしても許されると思っているんだね。恥ずかしいね。自分の未熟さを認めて家族の言うことを聞きなさい」という修正文を作って深層意識に聞かせるように読みました。

読み始めると、母は何でも自分のやりたいようにやっていた私に、当たり前のことを言っていただけだったと気づきました。母を悪者にしてきた自分の未熟さに愕然とし、母の躾がなければ、社会で通用する自分に育っていなかっただろうとも思いました。

結婚前は航空会社でキャビンアテンダントとして働いていましたが、大きな組織で規則も多く、勤務体系も不規則なので、自分を律することができなければ仕事についていけなかったでしょう。母が厳しくしてくれたお陰で働くことができたとわかり、母への恨みは感謝へと変わったのです。

優越感の裏の強い劣等感に気が付いて

――自分が一番という感情はほかにも影響していましたか

航空会社に在籍していたことで、まわりから「すごいね」と言われることも多くて、会社がすごいのに「私がすごい」と勘違いしていたようです。講師にそれを見抜かれて、「何もしていないのに、自分はすごいと天狗になっていませんか」「それはいつまでも通用しませんよ。いつか終わりがきて、優越感の裏側の劣等感に襲われます。優越感は麻薬だからやめなさい」と言われました。

それで思い出したのが、子供の時に2歳上の姉が優秀で、絶対に勝てないと思ったことでした。2歳も違うので勝てるわけがないのに、それが悔しかったのです。努力が嫌いで怠慢なのに「一番になりたい、注目されたい」という思いが強いので、人に勝とうとして、自分より未熟な人を見つけて、欠点を探し出しては「ほら私の方が上でしょ」と、優越感を味わうようになったのでした。

あまりに普通にそれをしていたので、「それは人を当たり前に見下しているからなのですよ。わかりますか?」と講師に聞かれた時に、ハッと息を飲みました。人を見下して優越感を得るけれど、本当の自分は未熟なのを知っているので、優越感の麻薬が切れると反対側の劣等感に転がり落ちるのだといいます。たしかに、私は自己肯定感が低くて、どん底になると、死にたいとまで思うことがありました。

ある時、小学1年生になった娘が「私はゴミだ」と言い放ったのを見て、幼い頃の自分がフラッシュバックしました。私も小学3年生の時に「私はダメ人間」という作文を書いて、文集に載ったことがあったのです。「娘は私」でした。講座で学んだように、私の深層意識にある思考の型がそのまま娘に映し出されていたのです。

講師から「なぜ自己肯定感が低いのかわかりますか?基本的に人を見下しているからですよ。あなたが優越感をやめないと自分も辛いし、娘さんもそのまま育ちますよ」と言われて、慌てて少し厳しい修正文を作りました。「勝ったと思った時点で負けているんだよ。お前はすぐに人を見下して優越感を感じているよね。一番になりたいなら努力しなさい」と自分の心に言い続け、人の欠点を見て「私の方がマシ」という思いが立ち上がったらすかさず、「いい加減にしなさい、やめなさい」と、制するようにしました。

――妻として、母として、どんなご自分でしたか

娘が保育園の時に、家族関係コースを受けましたが、その頃、私は夕飯を作るのが嫌で、何もしていないのに夕方になると疲れるのです。ほとんど毎日、夕食は娘と二人だったので、お弁当屋さんに行ってお惣菜を買って済ませていました。それくらい家事をサボっていたので、講師から「母親になりきれていませんね」「家事育児は自分の仕事と思ってしてください」と言われました。

人を見下すのをやめる修正文を読み、家事をしっかりやり始めると、人を見下している暇もなくなり、自分はダメだと劣等感に苛まれることもなくなりました。夫は元々まじめな人ですが、私が「今やる、すぐやる、全部やる」としなければならないことをしだすと、夫の仕事がさらに順調になりました。家事は夫の仕事にも影響するほど大切なことだったのだとわかりました。

娘の喘息が出なくなり私は雑誌の読者モデルになって

――そのほかにも思いが変わったことで、現象が変化したことはありますか 

娘には、幼い頃から小児喘息と猫アレルギーとアトピーがあり、病院で治療を受けていました。講師に娘のことを話すと、「真紀さん自身のかまって欲しかった思いが、娘さんに出ているのでしょう」と言われて、私も子供の頃にしょっちゅう風邪を引いたり、ケガをしていたことを思い出しました。

「かまって欲しいという思いを変えないと、これからも娘さんに出ますよ」と言われて、寝る前に小さな自分をイメージして、「病気じゃなくて、実力をつけて注目してもらおうね」と、心の中で自分に言うようにしました

病院での治療も続けましたが、娘が小学生になる頃には、完治が難しいと言われていた小児喘息も出なくなり、アレルギーの数値が下がり、アレルギーも出なくなりました。

それから、娘の喘息は「注目されたい」という思いでもあるので、「あなた自身が人前に出たいのでしょう。何か人に見てもらうような仕事をしたらいいわよ。チャイルド*の注目されたい思いを認めてごらんなさい」とアドバイスされました。

そこで、雑誌のモデルをしている友人に紹介してもらい、ファッション誌の読者モデルを始めました。ヘアメイクの特集で髪を切り、メイクをして撮影するなど、とても楽しい時間を過ごすことができました。

大人になってもニキビがポツポツ出ていたのですが、この頃はまったく出なくなりました。ニキビは怒りの表れだと講座で聞きましたが、私の中のチャイルドの怒りが収まると、ニキビも出なくなったのでしょう。高校生の頃からコンプレックスだったニキビ肌が美肌に変わり、セラピーの傍ら洗顔教室も開くようになりました。

理想の家に引っ越しできて

――ほかに、新たに現実化したことはありますか

娘が「アレルギーが治ったら猫を飼いたい」と言っていたので、「動物を飼える家に引っ越したいと思う」と講師に話すと、「理想の立地と間取りを書いて、毎日眺めてごらんなさい」とアドバイスされました。フラクタル心理学では「思考が溜まれば現実化する」と説いているので、「本当かな」と思いながらそうしてみると、急に家賃が上がることになり、引っ越すきっかけができたのです。

次は家を買うと決めていましたが、絶妙なタイミングで夫が昇進して、2ヵ月後には今の住まいに引っ越すことができました。イメージ通りの理想の家が見つかって、思考は本当に現実化するのだと実感しました。

――人生が変わったという実感は、どこに感じますか

はい、娘が2年生になると、学校のアンケートで「あなたは自分が好きですか?」という問いに、1年生の時は丸はつけられなかったけれど、今度は自信を持って丸をつけたと言ってきました。私の自己肯定感も上がったのだと、娘の変化で知りました。

それから、「両親のお陰で今がある」と心から思うようになると、娘が「ママ、私は金の卵なんだ。だってママが金の鶏だから」と言ってきて、涙が溢れました。

自分でカウンセラーの仕事を始めたことで、これまでいかに夫に頼っていたかもわかりました。娘にも「フラクタル心理学を学んでいなかったら、ママの方が愛想を尽かされてたよ」と言われましたが、夫はろくに家事もせず、お弁当しか買わない主婦を何も言わずに養ってくれていたのです。

私はとても傲慢でしたので、夫よりも私の方が上だと思い、どこかで夫のことを見下していたのだと思います。講座を学んで、夫は優しくて懐が深くて、素晴らしい人だと気づきました。夫への見方が変わると、夫婦関係も良くなり、これまで以上に夫も仕事に打ち込むようになりました。

長い間、母のことで悩んできたのに、フラクタル心理学の講座を学ぶと、悩みも解決して、人生の見方が180度変化しました。思い方次第で現実が変えられることを体験したので、これを伝える側になれるようフラクタル心理カウンセラーの資格を取ることにも挑戦したいと考えています。

*インナーチャイルド:深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部

2022年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子