依存心を変えると望む未来を手に入れることができたという坂本麻美さんからお聞きしたお話です。
会社員
坂本麻美さん
広島県在住
家族のことで漠然とした不安があって
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
私は30代前半で会社員として仕事をしながら、一人暮らしをしていました。当時、実家には両親と姉が同居していましたが、姉は軽い障がいがあり、引きこもりの状態でした。一方、兄は独立していて、姉とはあまり仲が良くないことから、将来、私が経済的に姉の生活を支えることになるのではないかという漠然とした不安を抱いていました。
そんな中、2020年に読んだ『ひとを変える魔法』(白石美帆著 同文舘出版刊)に、「現実を作っているのは自分の思考である」とあって、フラクタル心理学に興味を持ち、講座を受け始めました。
講座ではまず「私は非常に依存心が強く、姉に私自身の姿が映しだされている」と指摘されました。社会人として自立しているつもりでしたので衝撃を受けました。誘導瞑想をすると、パートに出かけようとする母を、小学生の私が「行かないで」と引き留めて、離そうとしていない場面がイメージの中に浮かびました。
今でも依存的な気持ちが残っているのでしょう。仕事で書類を作る際に「ミスがあっても事務員さんが気づいてくれるだろう」といった甘えた気持ちがありました。それも依存だと講師に指摘されて、パンチ法*で「自立しろ」と自分に言い聞かせ、誰かに頼りたいという思いが出てきたら、「ダメだ、自分でやれ」と戒めました。
さらに、母が専業主婦をしていた時期には、父が一人で家族5人を養っていたにもかかわらず、「家具がボロい」と文句を言ったり、40歳前後で私を授かった両親が友だちの親よりも年齢が高く、それが嫌で両親を馬鹿にするような気持ちでいたことにも気づきました。
これまで親にしてもらったことを書き出してみると、ひどいことを言ってきたことに気づき、謝罪ワーク*を徹底的に行いました。直接、謝りたくなり、父に電話すると、「そうか、わかったよ」と優しく応じてくれました。その時、救われたのはむしろ私のほうでした。
講師から「親との関係は職場では上司との関係と相似形です」と言われ、会社の状況をよく理解していないのに、上司や上層部に不平不満を言っていた未熟な自分に恥ずかしさを覚えました。
サークルの立ち上げと所属エリアの独立
――ご自身の状況や仕事での変化はありましたか?
2019年に母が他界しました。「もし私が結婚していたら、母は安心して旅立てたのではないか」と思い、初めて結婚願望を持ちました。講座でも「結婚は親孝行なこと」と聞き、「父が元気なうちに必ず結婚する!」と決意しました。
結婚が実現しないのは、「責任を取りたくない」思考があると指摘されたので、「依存をやめて、自分で自分の責任を取る」と自分に言い聞かせながら行動しました。
この頃、アロマやハーブの勉強をしてきた経験を活かし、職場でサークルを立ち上げようと思いつきましたが、「興味を持つ人なんて多くないだろう」とネガティブな思いが先立って行動できないでいました。講師から「それもあなたの思考です」と指摘されて、「たくさんの人がワイワイ楽しく活動している」とイメージすると、20人ほど参加者が集まり、無事にサークルが立ち上がると共に、補助制度が新たに作られ、会社が活動を支援してくれることになったのです。
そのほか、会社の組織にも変化があり、私が所属しているエリアが独立して、新事業所としてスタートすることになりました。
障害となった思考を変えると結婚が決まって
2022年5月に一色真宇先生のカウンセリングを受けて、結婚したいのに、婚活がうまくいかないのは何が問題なのかを尋ねました。カウンセリングの中で、20代でうつ病を患って休職し、自傷行為をしたことを話しました。その時、どんな気持ちだったか尋ねられて、「こんなになるまで頑張ったと思うことで、自分の中のイライラがようやく静まるように感じました」と答えると、「あなたにとって『かわいそう』な自分を認識することが癒しになっているようですね。でも、『かわいそう』が正義になっている限り、問題は解決しません。それをやめる必要があります」と指摘されました。
それから、誘導瞑想で、チャイルド*に対して言いたいことを言うように促されて、「かわいそうぶるのはやめなさい」と言うと、「大人の思考回路で人生を作り変えたいと思っているのに、チャイルドのパワーに負けています。もっと強い言葉でチャイルドを厳しく躾けなければいけません」と次のような修正文をいただきました。
「弱いふりをやめろ! 一生親不孝のままでいいのか! 親を安心させたいんじゃないのか! 可哀想なふりはもう通用しないと気づけ! かわいそうは損だ、能力がつかずに本当に欲しいものは何も手に入らないぞ!」
この修正文を強い口調でチャイルドに言い聞かせると、ほどなくして、友人の紹介で夫と出会いました。翌年の2023年2月には結婚が決まり、5月に36歳で入籍しました。同じ年の3月には家を建てる計画が本格化し、11月には新居が完成。12月には引っ越しを終えました。願望が一気に現実となる特別な一年となりました。

夫は仕事で表彰され、私は副業で新たな可能性を求めて
――旦那さまにも変化はありましたか?
どちらかといえば夫は仕事に対して消極的で、「生活のために働いている」といった感じでした。真面目で手を抜かないので、仕事を押し付けられることも多く、本人は「割を食っている」と感じることもあったようです。
講師から「旦那さんはやる気がないわけではなく、ただ少し報われたいと思っているだけなのでは?」と言われました。その言葉をきっかけに、私自身も周りの人を報われない気持ちにさせていないかと振り返ると、また、両親のことが思い浮かびました。イメージの中で両親に対して、これまでしてもらったことを「嬉しかった。ありがとう」と伝え、夫に対しても、感謝の気持ちをしっかり言葉にして伝えるように心がけました。すると、夫は会社主催の年2回の仕事の発表会で、優秀賞と最優秀賞をダブル受賞したのです。お給料も上がり、資格試験などにも積極的に取り組むようになりました。
結婚後、私は引っ越しを機に新しい部署に配属されましたが、その部署もまた独立して新会社となりました。講師からはサークルの立ち上げや、所属部署の2度の独立は、私が「自立の思考をしたから」と励まされました。
また、これまでの経験を活かして、まずは副業で健康増進に貢献できる分野で活動しようと思いましたが、会社の就業規則には「副業禁止」と明記されていました。講師から「副業が可能になった未来をイメージすることが大切」とアドバイスされて、楽しみながら副業で収入を得ている自分の姿を思い描いていると、ある日、会社の就業規則から「副業禁止」の文言が消えていることに気づき、未来が大きく広がったように感じました。
家族のこと、将来への展望
――ご姉兄の関係にも変化はありましたか?
昨年、父が他界し、姉が一人暮らしを始めました。障害手帳を持つ姉には障害年金が支給されていますが、それだけでは生活を賄うには不十分でした。ところが、姉は自ら就労支援施設に通い始めて、慎ましくも安定した生活を送るための収入を得られるようになったのです。
さらに、不仲だった姉と兄の関係も少しずつ和らぎ、必要な連絡については直接話すようになり、ささやかな進展ですが、家族の新しい絆を感じることができました。
家族のことがいつか大きな問題になると思い、そのことが心の中で重荷となっていました。しかし、思考を変えると、動かないと思っていた現実が動き始め、自分の思い描いた未来を手に入れることができたのです。私自身も独立を考えて、副業の準備を進めており、これから新たな挑戦が始まるという期待で胸が高鳴るのを感じています。
*パンチ法:シャドーボクシングのように言葉を発しながらパンチをする思考の修正法
*謝罪ワーク:イメージの中の相手に向かって土下座するワーク
*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識の中の成長しきれていない未熟な一部
2025年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子