私が深層意識を変えると、 4年間引きこもっていた息子が働き出して  

自分の深い意識に気づいて「思いと行動」を変えると、息子さんが働き出したという伊藤治子さんのお話です

会社員 
伊藤治子さん
  岐阜県

ひきこもりの息子を変えたくて学び始める

――学んだきっかけをお聞かせください

フラクタル心理学を学んだ友人から「この世界はすべて自分が創っている」「思考が現実化する」と、初めてフラクタル心理学の定義を聞いたとき、すぐには受け入れられませんでした。私が置かれた今の状況を私が創ったのだとしたら、「こんな現実は望んでいない」と思ったからです。私には、息子と娘がいますが、息子は3年前に大学を中退すると、部屋に引きこもり、ゲームばかりして過ごすようになってしまったのです。

とにかく話を聞いてみたいと受講した入門講座で、「息子さんはあなた自身の姿ですよ」と講師から言われました。私の深層意識(潜在意識)が息子に投影して、息子が引きこもりになったのだから、私の深層意識が変われば息子も変わるということでした。深層意識を変える修正文の作り方を教わって読み、講座も学び進めました。

2020年の秋に受けた2回目の入門講座で、初日に講師から修正文を渡されました。それは「逃げてばかりいないで、ちゃんと人と向き合いなさい。そうでないと、生きることの楽しみを知ることができないよ。人と関わることは面倒だけど、人と関わることで人は成長するんだよ。それができないと大人になれないんだよ。人はたくさんの体験を経て大人になるんだよ」というものでした。

家に持ち帰って、翌朝、再び読んでみると、「あっ、これは私のことだ」と、その時初めて「息子は私だ!」と気づいたのです。頭ではなく腹の底からわかったという感覚でした。その日、講座が始まる前に、「私やっとわかりました!」と講師に報告したのを覚えています。

――やっとスタートできたのですね。講座では何に気づきましたか?

1年前の3月には2回目の初級講座を受けて、続けて4月からカウンセラー養成講座に参加しました。オンラインで受けたのですが、受講生同士でアドバイスし合った時に「カメラを見て喋ってない」「喋り方が暗い」「いつも画面の端っこにいる」「どよ~んとしている」と辛口のコメントばかり言われました。

自分では他の仲間と変わりなく受講しているつもりでしたから、そんな風に見えるのかと驚いて、私の基準はずいぶん低いことに気づいたのです。

それからは、ウェブカメラの位置を変えて自分が中央に映るようにしたり、意識してカメラに向かって喋るようにして、髪型やお化粧にも気を遣いました。次の講座では「真っ直ぐ画面のほうを見るようになった」「話し方が変わった」「明るくなった」と仲間から褒められて嬉しくなり、「自分にダメ出しする暇があったら、努力して変わろう、私は変われる!」とさらに自分を励ましました。

考えてみると、講座の仲間は変化しているのに、私の状況が変わらないことに引け目を感じていたのかもしれません。幼い頃に、姉へのコンプレックスからふてくされて、殻に閉じこもろうとしたことも思い出し、「あなたはお姉ちゃんを敵だと思っているね。いろんなことを押し付けられるから、家族も邪魔な存在で、一緒にいても楽しいと思えないんだね。でもね、お姉ちゃんも家族も敵なんかじゃないよ。あなたのためにやってくれているんだよ。周りがやってくれることに感謝できないと、自分も周りから感謝されないね。それでは生きていてもちっとも楽しくならないね。周りを敵視して排除するのをやめなさい。周りと調和しなさい」という修正文を作って読みました。

自分の思いを変えると息子が自立

――息子さんが引きこもる心理はわかりましたか?

はい、勘違いから周りを避けるようになったのだと知りました。私には波風を立てたくない、波風が立つくらいなら、私が我慢すればいいという思いがあって、極端なことをいえば、通りすがりの人にも「いい人」でありたいと思っていましたが、それは人と深く関わることを避けていたからでした。これは息子が引きこもりたい思いだとわかりました。

事なかれ主義で、その場その場でふわふわとした生き方をしていては、何も変わらない。毎日テレビを見て笑っている生活では満足感もないし、人の目を気にしてばかりの縮こまった生き方では、生きる喜びもないと気づいたのです。

以前、講座で愛の定義を聞かれて、私は「愛は包み込むもの」と答えたのですが、「愛は成長させること」と学んで、これを自分でも実践しないと、息子は変わらないと思いました。

――その理解をどのように活かしましたか?

主人と三人で今後のことについて話す機会を作りました。主人が「このままでは良くないよね、どう思っているの?」と息子に聞くと、「いいと思っていない」と言うので、「お母さんもいいと思ってないよ。でも、お母さんたちができることはもう終わっているから、あとは自分でやるしかないのよ。今のままではきっと楽しくないから、自分の将来を想像して、行きたい方向に進んでいきなさい」と言うと、息子は「そうだね」と頷きました。今までのように言っただけで終わらないように、期限を決め、それまでに働き先が決まらなくても家を出るように言いました。

それから2ヵ月ほどたって、昨年8月のことですが、息子は「働くところが決まった」と、寮付きの勤務先を見つけてきました。口に出すのは照れくさかったのですが、今言わないとダメだと思って、「お母さんはちゃんとあなたを愛してるから、あなたの味方だからね」と伝えました。いざ息子が出て行くとなると、やはり寂しくて、いかに私が息子に依存していたかがわかりました。

これまで、息子は主人と話すことはほとんどなかったのですが、先日久しぶりに帰ってきて、ご飯を食べながら、二人でたわいもない話をするところを見て、目頭が熱くなりました。今まではラインを送っても短い返事しか返ってこなかったのが、「免疫力が大事らしいから、睡眠と栄養をしっかりとってね」と送ると、「お母さんも身体を大事にしてください」と気遣う言葉が返ってきて、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

会社での人間関係も変わり 仕事に意欲的になる

――ご自身にも変化がありましたか

短大を卒業後就職してから、子供たちを親に預けてほぼ休みなく働いてきましたが、これまでは上司の指示待ちで働くスタイルでした。1回目の入門講座を終えた頃に未来計画手帳の会に入り、私は総務部なので「総務の星になる」と、その時に仕事の目標を決めました。月ごとに開かれる未来計画手帳の会の成果報告会で、良い報告をしたいと思うと、仕事への取り組み方も変わりました。

総務は会社の中でのサービス業ですから、総務の星になるには、一流のサービスができることだと思い、給料計算、福利厚生、各種メンテナンスなど的確にこなして、社内の問い合わせにも迅速に答えるようにしました。それから、入社当時からお世話になった上司が退職されたのを機に、上司から得た知識やスキルを同僚とも共有して、チームとして仕事を進めていく新しい流れもできました。

今まで同僚がどう思うかが気になって、当たり障りのない言動しかしてこなかったのですが、同僚の言葉は私へのアドバイスであり、思ったことを同僚に伝えることは、相手の成長に繋がると思えるようになり、職場の人間関係もスムーズになって、部署全体のスキルアップに繋がったと思います。

フラクタル心理学のカウンセリングを福利厚生の一つとして導入したいという思いもあります。その旨を上司にも話しましたが、さらにプランを練って実現させて、会社にも貢献したいと思っています。

2022年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子