「家事育児は自分の仕事」と私が決めると、長男も勉強することが自分の仕事とわかり中学受験で合格!

長男の問題を自分の問題と捉えて、深層意識(潜在意識)を修正すると、長男が能力を伸ばして中学受験でも合格したという塩見やすえさんからお聞きしたお話です。

ライフ&ファッションスタイリスト 心理セラピスト
塩見やすえさん
神奈川県在住

私の深層意識(潜在意識)が長男に投影されているとわかる

――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください

夫と小学生の息子2人の4人家族ですが、次男が幼稚園に入園したのを機に、パーソナルスタイリストの仕事を始めました。仕事と家庭を両立させようと頑張ってきましたが、当時小1の長男はマイペースというか、動作がゆっくりで人と合わせられず、担任の先生から「体操服がなかなか着られない」などと自宅に電話が掛かってくることも度々でした。

長男は5年生になっても相変わらずなので、何とかしたいと思い、一昨年の秋からフラクタル心理学を学び始めました。

「長男のことをどうにかしてほしい」というように、私には人に頼ろうとする依存心があり、それが投影されて、長男が依存的になっているのだと講座で教わりました。

とにかく、目の前のことを淡々とやることが大事で、私にとってそれは「家事と育児」だと教わりました。仕事が楽しくて、家庭に気持ちがいっていなかったので、長男の「やりたくないことは、やりたくない」は私の「家事育児はやりたくない」と一緒だったと気づいたのです。

それから、講座のテキストに「怠慢は恐怖を作る。行動の訓練のない人は恐怖がないと動かない。誰かに言われてしか動かない」とありましたが、怒られて、怖くて仕方なくやる長男はまさにこれでした。ということは、私の深層意識に怠慢な思いがあるということなので、「自分で決めて自分で動く」「家事育児は自分の仕事」を徹底すると決めました。 

長男に寄り添うと態度が変わり漢字も書くようになって

――具体的に実践したことはありますか?

長男を変えようとしないで、まずは寄り添うようにと講師から言われていたので、「早く動いて」と言いたいのをぐっとこらえて、「そう思うんだね」「そういうこともあるよね」と、長男の気持ちに寄り添いました。

講座で兄弟順位について学ぶと、第一子は喪失感や絶望感を感じることがあると知り、「弟が生まれて全部奪われたと思って、寂しかったのかもしれないね」「ママも妹がいるからわかるよ」と時間をかけながら長男の気持ちに寄り添うと、「そうだったかもしれない、ボクはママの愛が20%になっちゃったと思ったんだ」と長男は気持ちを打ち明けるようになりました。

フラクタル心理学では「成長を促すのが愛、自立を促すのが愛」と学びますが、長男の愛の定義は「一緒にいてくれて、100%ボクだけを見てくれて、ボクの思いにいつも応えてくれること」で、次男のように小さくて、自分でできないと愛をもらえると勘違いして、自分から動かず、自分でしない子になってしまったのでしょう。これも私自身が正さなければいけないと、自分のチャイルド*に勘違いを教えました。

――学校の勉強で試みたことはありますか?

長男は漢字を書けないわけではないのですが、ひらがなで連絡帳を書いてくるので、「どうして漢字を書かないの?」と聞くと、「漢字の『字』はひらがなで書いたら三画なのに、漢字で書くとすごく多くなる。だから書きたくない」と言います。担任からは「めんどくさい男子」と評されましたが、長男には独自のこだわりがありました。

講師から中級講座のテキストにあった修正法を私自身が読むように言われていたので、小学生の自分をイメージして幼い自分に聞かせるように読みました。

「ちゃんと言われたことをしようね。必要なことができないと、あなたは一生自分をダメな人間だと感じて苦しい人生になるよ。やるべきことをちゃんとできたら、自分が誇らしくなって楽しくなるよ、周りの人とも仲良くできるよ。そして自分に幸せを与えたいと思うようになるよ。だから言われたことをするのはとてもお得なんだよ、さあ、今すぐやろうね」(一部掲載)これを食卓の目に入るところに貼り、メモ帳にも書いて読みました。

その頃、「先輩が行った中学を受験したい」と長男が言い出したので、「今漢字を勉強すると、希望の中学に行けるかもしれないけれど、やらなければ受験で落とされるよ、どっちが良い?」と尋ねました。すると、自分でスケジュールを立てて、少しずつ漢字を勉強するようになり、「自分で決めて自分で動く」ようになったのです。

それから、講座で「欠点の裏は長所」と学び、私自身、ファッションへのこだわりが長所として仕事になっていると気づき、長男の強いこだわりは裏を返せば長所で、能力になり得る部分でもあると思えるようになりました。

できていないところが目についたときには、「私の人生すべてスイスイうまくいく」とアファメーション**を唱えて、すぐに変化を欲しがる私のチャイルドに焦らずに待つように言いました。

母や夫に対する思いが変わり子供たちも自立して

――ご家族に対する思いはどうですか?

母から「家のことはちゃんとできてるの?」と聞かれると、「好きなことばっかりして」と、言われているように感じて、「お母さんは働いていなかったからわからないのよ」と心の中で母を見下していました。講師から「あなたが完璧を求めていたから、お母さんは家にいたんですよ」と諭されると、家に帰った時に「お帰り」と出迎えてくれて、美味しい料理を作ってくれる母が好きで、それを私が望んだのだと気づいて、心の中で母に謝りました。

それから、夫は海外出張で不在も多く、「私の大変さをわかってほしい」「家事や育児を手伝ってほしい」という思いがまだあり、夫を母親代わりにして、依存していることにも気づきました。そこで、仕事は順調で収益も上がっていましたが、思い切って仕事量を減らすことに決めて、仕事6割、家事育児4割から、子供たちが小さいうちは仕事4割、家事育児6割に切り替えることにしました。

――ご長男の変化はどうですか?

夏休みになって、長男は受験に向けて毎日のように塾に通っていましたが、「今までで一番楽しい」と言うので驚きました。自分から行動せず、人の言うことも聞かなかったのに、「はい、わかりました」と言うことを素直に聞くようになり、友だちもできました。

長男に連動して次男も自分で夏休みの計画を立てるようになりました。次男が友だちから私の仕事を聞かれて「うちのママは人生楽しんでるよ」と答えたというので、「その通りだね」と家族でひとしきり笑いました。仕事や生活を楽しめばその姿勢が家族にも伝わると、ファッションのお客様にシェアすると、皆さんの心に響いたのか、次の仕事の依頼が増えました

久しぶりに息子たちを連れて里帰りしたときには、長男の変化を見て「よくここまで頑張ったね」と両親から褒められました。心配ではなく、子供たちの成長を楽しみにしてくれるようになり、親孝行できたと感じました。

長男は中学に1校合格して、これから他校も受験する予定です。長男に結果が出たので、心理セラピストとしても活動を始めると、思いのほか楽しくて、仕事でもう1つの軸にしていこうと思うようになりました。夫とはお互いに尊重し合える関係性に変わりました。長男と私の明らかな変化を見て、「フラクタル心理学を学んでくれてありがとう」と喜んでくれています。これからもさらに夢を膨らませて、実現していきたいと思っています。

*インナーチャイルド:深層意識のなかの成長しきれていない未熟な部分

**アファメーション:肯定的な自分への宣言

2023年1月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子