賢者タウとその弟子サトルの物語。サトルが日常のいろいろなことを賢者タウに尋ねます。あなたも賢者タウ になったつもりで考えてみましょう。
修正を成功させるには

先生〜!

おお、元気じゃったか?

はい! これ、冷凍庫へ入れてください!

なんじゃ?

アイスクリームです。保冷剤は入っているんですが、この暑さで溶けてきてしまって。

ほほう。アイスか! 気が利くじゃないか。
さては、何か質問じゃな。

はは。お見通しで。
実は先日、ある経営者の方とお話しする機会があって、僕がカウンセラーをしていると言うと、相談されたんです。その方には、小さなお子さんがいるのですが、食事の時間もウロウロして座ってくれなくて困っているそうです。お母さんが叱って、無理に座らせても駄々をこねるそうです。
ですから、フラクタル心理学の修正法を簡単にお伝えしました。お子さん本人に言うのではなく、深層意識の中のチャイルドをしつける必要があるとご説明した上で、大人の自分の言うことに従ったとき、どんなメリットがあるか考えてもらったんです。でも、ご本人もピンとこない様子でした。

それで、サトル先生は、何と言ったんじゃ?

実は、今日伺った理由はそこにありまして、そのときは、「早く食べたら、早く遊べるよ」とメリットを伝えたのですが、これがベストな提案だったのかよくわからなくて。

うむ。人はメリットしか選ばないからな。だから修正を成功させるには、メリットをしっかり提示することが大切じゃ。つまり、これまでのやり方を変えて新しい選択と行動で得られるものが、心の底から価値があると思えるなら、修正にも熱が入るというわけじゃ。これがあやふやだと、修正もなかなか進まないんじゃ。適切なメリットを提案するのは、カウンセラーとしてとても大切なことなんじゃよ。

はい。そこのところ、もう少しご説明ください。
新たな価値を見出す

うむ。「早く食べると、他に時間を使える」という提案が間違っているわけではないが、どうせやらなければならないことならば、今やるべきこと、つまり食事の時間そのものの価値をもっと高めたらどうじゃ。食事時間にちゃんと座ると、どんないいことがあるじゃろう?

うーん。 なんだろう。

こんなことを聞いたことがあるぞ。社会的な地位のある人々は、マナーの守れない幼児とは一緒に食事をとらない人も多いそうじゃ。だから、彼らの子供達は小さいころからしっかりしつけられる。ということは、どこに行っても恥ずかしくないマナーを身につけることは、一流の人達と社交する基本であり、それこそが本物の豊かさの土台ということじゃ。特にこの人は経営者じゃ。マナーを守ることが豊かさをもたらすという言葉は響くはずじゃ。

なるほど!

行為そのものに新しい価値を見出すんじゃ。
例えば、部屋を片付けなきゃと思っているけれど、なかなか重い腰を上げられない人に、片付けの価値を教えてあげるとしよう。そもそも、物であふれ返った部屋にいることでストレスを感じているはずじゃ。美しく快適な部屋にいられないとしたら、心の奥底では、自分には汚部屋がふさわしいと思っているということじゃ。ドキッとするのう。部屋を片付けることで、こんがらがった頭の中が整理され、自己評価がぐんぐん高まるとしたらどうじゃ。片付けたくなるじゃろう。

なるほど。そんな風に言われたら、慌てて動きたくなりますね。行為自体のメリットをはっきりさせるのは大切ですね。

未来のためのステップとして、修正があるんじゃ。根本的に、人生が素晴らしいものだと思わなければ、成長する必要はないからのう。そこのところを、しっかり伝えてほしい。

はい! 今回もありがとうございました!

うむ。そろそろ3時じゃ、アイスを食べようじゃないか!
2023年7月発行TAWプレスに掲載