娘は不安障害を克服して東大大学院へ進学、夫は外資系IT企業に転職、私はNHKあさイチにロケ地見学会の仕事で出演して

自分の深層意識(潜在意識)を変えると、家族がそれぞれステップアップし、自分自身にも新たな仕事が舞い込んできたという前野和泉さんからお聞きしたお話です。

自営業・フラクタル心理カウンセラー
 前野 和泉さん
                 山梨県在住

娘の不安障害と夫の腹痛がなくなって

――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください

人事関係の仕事をしていて、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を持っていたことからフラクタル心理学に興味を持ち、2017年に入門講座を受講しました。2年後に、関西の大学に行っていた娘が精神的に不安定になり、翌年、自殺未遂で入院しました。

講師とお話しする機会があり、娘のことを相談すると、ご自身の息子さんが変化した体験をお話しいただき、「母親が変われば、必ず子供も変わります。信じてご自分を変えてみてください。子供のためと思えばできますよね! 子供のために役立つことができるのは幸せなことです」とアドバイスいただきました。

フラクタル心理学では「思考が現実化する。100%例外なく! 」と言いますが、「100%と言われると受け入れにくい」と夫に話すと、「例外があったらそれが言いわけになるから、『100%例外なく』が大事なんでしょ」と言われて、確かにその通りだと思い、「例外なく」を受け入れることができたのです。

その後、娘は1ヵ月ほどで退院して私たちの元に戻り、コロナ禍となってオンラインで大学の授業を受け、その間、私はこんまり×フラクタル心理学の講座を受講しました。部屋と脳や体は相似形で、部屋が片付けば頭の中も整理され、体もシェイプアップすると学び、3日後には部屋が片付き、体重も落とすことができたのです。

娘は元気になり、大学院に進むことを目標に勉強を始めました。京都大学と東京大学の両大学院に合格して、翌年には東京大学の大学院理学部へ進学しました。これまで頻繁に腹痛で入院していた夫もあまり腹痛を起こさなくなり、大手外資系IT企業に転職して年収もさらにアップしました。

その後、家族関係コースを受講して、子供の頃を思い出すと、三姉妹の末子の私は、姉たちが怖い、みんなが怖いと、周りを悪者にして親に保護を求めていたことを思い出しました。そこで、「もう手をはなしても大丈夫だよ。自分で歩けるよ」「私は良くやっている。みんな見守ってくれている。周りは優しいよ」と深層意識に言い聞かせました。

続けて受講した初級講座で、誘導瞑想のワークを行うと、母と知らないおばさんと手を繋いでいるシーンがイメージの中に出てきました。鼻が垂れてきたのですが、両手がふさがっていたので鼻をすすると、「汚いでしょ」と知らないおばさんに注意されました。手を繋いでいるから気を遣ってそうしたのにと、悲しく思ったことを講師に話すと、「それは手をはなせということです」と諭されました。手をはなして鼻を拭けばいいのであって、自分の足で歩けということだというのです。それまで私には漠然とした不安感がありましたが、それは手をはなしたら愛を失ってしまうのではないかという不安感で、甘えや怠慢からきていたと気づいたのです。

責任を取ると決めるとロケ地見学会を開催できNHKにも出演して

――その後、どのような変化がありましたか?

地元で撮影されていたドラマのテーマが好きになり、そのドラマを応援する「推し活」の一環として、「ロケ地見学会」のガイドを趣味で始め、地元の観光協会とのつながりができました。

舞台となった学校もロケ地見学会に組み入れたいと思い、市役所で入校許可を得ようとすると、「学校は廃校で一般には貸し出せないので、仕事としてやってください」と言われました。

私は末子ですが、入門講座で「末子は言いわけをしてやらなかったり、人任せにするところがある」と学んだことを思い出しました。この頃受講していた中級講座で、講師から「責任を取るといいですね」とアドバイスされ、パンチ法*で「責任を取れ」と自分に言い聞かせていると、地元の観光協会との共催で、ロケ地見学会を開催することが、仕事として決まったのです。

同じ頃、NHKでおこなっていた「推し活のアンケート」に、ロケ地ガイドをしていると書いたところ、NHKの朝の情報番組「あさイチ」から取材を申し込まれました。市役所とのやり取りから始まり、ロケ地見学会実現までの過程が詳しく放映されて、その内容が評判となり、ロケ地見学会も今年で5回目の開催を迎えるまでになりました。

天井を外して更に上がろうとすることの大切さ

22年に上級講座を受講すると、これまで講座で学んできたことが繋がってきました。推し活を仕事にするほど私が推しに憧れるのは、みんなから注目される推しのように、私にも注目されたい思いがあるからで、娘も同じで、思い切ったことをして注目されたかったのだと気づいたのです。

娘の自殺未遂はオーバードーズ(薬の過剰摂取)によるもので、理学部だった娘は自分でカフェインの錠剤を購入して、致死量ギリギリの量を飲んだのです。このことがわかり、注目されたいなら、ネガティブなことで注目されるのではなく、努力してポジティブなことで注目されようという思いを強めました。

以前の講座で、マンションの階層図を使って、上にも階があることを知らないと、自分が一番上に住んでいると思い込んで満足してしまうが、本当は最上階まで上らないと上からの景色は語れないと学びました。ここが天井と決めることなく、もっと上があるのだから、さらに上がろうとすることが大事なのだと知りました。

これまで、甘えたい思いが強く、かわいがられる末子でいようとして、知らず知らずに自分で天井を作っていたようです。中間子や長子の要素も取り入れれば、もっと人生が広がるのだから、思い切って天井を外そうと思いました。

推し活のイベントなどは土日開催が多いのですが、夫が家にいるから家にいなきゃいけないと、ここでも自分で天井を作っていましたが、天井を外すと、夫から「土日いないの?」と言われることがなくなり、気持ちよく送り出してくれるようになりました。手を離したら、愛がなくなるのではないかと心配でしたが、最近になって、手を離しても失わないということがわかり、むしろ夫婦仲も良くなったと感じています。娘も無事に大学院を卒業し、大手製薬会社に研究員として就職して一人暮らしをするようになり、さらに良い関係を築けています。

旅行代理店とのツアー企画も成功して

――現在と今後の活動についてお聞かせください

ロケ地見学会の参加者の方に楽しんでいただきたくて、スタンプラリーができるようにロケ地ごとにスタンプを作りました。旅行代理店さんからのロケ地見学会ツアーを企画しないかという協業の話も実現し、こちらも販売初日で満席となりました。

推し活ではロケ地を聖地と言いますが、聖地で結婚して移住したいという参加者の声を聞いたことから、地元の市の結婚相談所の相談員にもなりました。さっそく見学会でもチラシを配って結婚相談所のPRをしています。

昨年は、フラクタル心理カウンセラーの資格も取り、学習塾を経営していた経験も活かし教育心理コースの「勉強が好きになる!」の講座を開きました。今後は、「理想の結婚を手に入れる! 幸せの自分改革」講座も開催していきたいと思っています。ロケ地見学会でもさまざまな団体と協業して楽しい企画を作り、訪れた人がみなこの土地に住みたくなるような魅力あふれる発信をしていきたいと思っています。

*パンチ法:シャドーボクシングのように言葉を発しながらパンチをする思考の修正法

前野和泉さんのX(旧ツイッター)

2024年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子