依存の心を変えると49歳で正規採用され、人生をコントロールできるように
歯科衛生士・フラクタル心理カウンセラー
宮堂嘉代子さん
和歌山県在住
介護に追われ、夫との仲もギクシャクし、人生を嘆いていたところから、深層意識(=潜在意識)の修正によりすべてが一変し、やりがいのある職場に正規雇用となったという宮堂嘉代子さんからお聞きしたお話です。
自分の深層意識(=潜在意識)の問題を知る
同居している義理の父が認知症に、義理の母が寝たきりとなり、自宅で介護し始めたのが、私が43歳のときでした。二人とも要介護5の段階で、中学生と高校生の息子を育てながら介護に追われ、自営業の主人は仕事が忙しく、夫婦仲もギクシャクするようになりました。
3年後に義理の母が他界し、義理の父の徘徊がひどくなり、「人生がこんなにしんどいなんて」と嘆いていたときに出会ったのが、『人生乗り換えの法則』(宮崎なぎさ著 講談社刊)でした。「人生を変えられるのなら」と、49歳のときに初めてフラクタル心理学のカウンセリングを受けました。
カウンセラーの先生に分析していただくと、問題の元は母との関係にあるといわれました。私は一人っ子ですが、母を自分の思い通りに動かしたくて、母に何でもやってもらって当然と思い、やってもらえないと怒って攻撃的になる自分が深層意識にいるといいます。その、傲慢で依存的な心が外側に投影されて、世話を掛けるような人を現実化させていると指摘されたのです。
これを変えるには、怠慢や依存をやめて「責任を取る生き方をすること」と教えられ、「人にやってもらおうと思うな、自分でやりなさい」「察してもらおうと思うな」と深層意識に言い聞かせるように言われました。
主人との関係では、主人に言いたい文句を全部自分に返すように言われました。それは、自分の深層意識の投影だから、自分の深層意識に伝えるのだというのです。また、これまで、主人の自営業の経理をしてきましたが、仕事の手伝いだけで暮らしていけるのは主人のお陰であり、その有り難みや主人への感謝を教えられました。
歯科衛生士として再始動
依存的な心を変えるためにフラクタル心理学の講座も受講し始めて1~2ヵ月たったころ、義理の父のケアマネージャーが交代になり、後任のケアマネージャーから老人ホームへの入所をすすめられて、すんなり入所が決まりました。
さらに、入所先の老人ホームの理事長が歯科医師で、偶然にも私は結婚前に歯科衛生士として働いていたので、求人が出ている理事長の歯科クリニックで働きたいと申し出ると、正規採用になったのです。深層意識を修正して現実が変わった、と実感しました。
再就職したのが49歳、24歳で結婚退職したので、25年のブランクがありました。再就職の喜びもつかの間、すぐに現実の厳しさに直面しました。受付業務やカルテもすべてパソコン入力で、パソコンを触ったこともない私は、電源を入れるところからのスタートでした。また機器や歯科材料も昔とは変わっており、ほかのスタッフとの年齢差もありました。
問題をつくる「種」はいつも同じで、「やってもらいたい、察してほしい、できないんだから教えてよ」という心とわかっていたので、「依存を捨てて責任を取れ」「すべきことをコツコツしなさい」と繰り返し自分に言い続けました。主婦や母親としてすることはしても、夫に依存して、怠慢で責任を取るような生き方をしてこなかったのです。年下のスタッフにいろいろと叱られて、涙をこらえながら「それでも私は変わりたい、変わる」と決めて深層意識を修正していきました。
3ヵ月くらいで何とかやっていけるようになり、その後も、修正するほどにミスがなくなり、仕事もできるようになり、スタッフとの関係も良くなり、自分やまわりが変化していくのがわかりました。
あのときのおばさんが今の私
私が20代前半のころ、職場に入ってきた年配のパートの人の覚えが悪く、「もう何度も言っているのに」と、よく思ったものでした。フラクタル心理学では「必ず両方経験する」と言いますが、「あのおばさんが今の私」と気づいて恥ずかしくなり、「あのときはバカにしてごめんなさい」と心のなかでその女性に謝りました。
今の職場で若いスタッフが手厳しいことを言っても、あのときの傲慢な私だと思い、 自分に返して修正します。そうやって自分で現状を変えていけるところが、フラクタル心理学が他の学びと違うところだと思います。
年月を経て、私も今の職場で先輩となり、スタッフ教育にもフラクタル心理学を役立てています。先日も若いスタッフにきつくあたる年長のスタッフが、患者さんからすごく怒られたと聞き、「自分自身の行動が時と場所と人を変えて自分に返ってくるよ」と教えると、彼女は次の日から若いスタッフにきつく言うことがなくなりました。
主人との関係も、素直に主人に心を合わせていくと、主人は私の活動や勉強にも協力的になり、昨年は、ビジネスマインドコースを一緒に学んでくれました。
カウンセラーや講師としても活動していきたい
復帰して6年目、私も55歳になり、昔から手がかからなかった息子たちですが、長男が結婚し、次男はこの秋から東京勤務となりました。昨年はフラクタル心理カウンセラーの資格も取り、今年は「ケアをする人の心と身体の癒し講座」の講師にもなりました。
訪問歯科診療で先生に同行したり、一人で訪問して口腔ケアをするときに、訪問先で介護に苦労されているご家族や、看護師さんや理学療法士さんと出会うことがあります。
このようなケアする立場の方や、子どもたちが巣立った同世代の方の心のケアに、私の介護の経験とフラクタル心理学の学びを役立てたいと思い、少しずつですが休日にはカウンセリングや講座も始めています。
介護しているころは、早く子どもを育てあげてのんびりしたいと思っていましたが、今は以前できなかったことができるようになり、新しいことに対応できる自分が誇らしく、仕事にもやりがいを感じています。依存の気持ちを修正したら、自分で舵を取れるようになり、この先どのような人生にしようかと夢を膨らませる毎日です。
2020年11月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子