今の状況は自分が作りだしていると知り、思い込みを変えたことで家族との関係や仕事への取り組み方が変わったという中村和香さんからお聞きしたお話です。
中村和香さん
パーソナルスタイリスト フラクタル心理カウンセラー ダイエットコース講師
山形県在住
末っ子である自分の思い込み
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
2020年、小学4年生の娘を育てながら、週2日は事務の仕事で主人の会社に勤務し、パーソナルスタイリストとしても活動していました。パーソナルスタイリストとして個人事業主の登録もしていましたが、SNSでの発信などを進めることができずにいました。そんな折、個人事業主として順調に仕事を伸ばしている友人からフラクタル心理学のことを聞き、助けになるのではないかと思い、体験講座を受けることにしました。
初級では、現在抱えている問題から誘導瞑想をしました。私は40歳を過ぎてから痩せづらくなっていたので、「ダイエットできない」という思いを掘り下げました。すると、焦燥感、喪失感、苛立ちという感情が出てきたのです。
体験講座で、家庭のことを話すうちに、主人への不満が出てきました。講師から「それは全部自分の中にあるものです」と言われて、反発を感じましたが、「あなたが変わらなければ何も変わりませんよ」と諭されてフラクタル心理学の講座を受けることにしました。
それらの感情の原因となってる出来事を見ていくと、私は三姉妹の末っ子ですが、長女ばかり新しい洋服を買ってもらって、私はお下がりばかりでずるいと思っているようすが出てきました。本当は私も姉のように扱われたいし、認められたい、末子じゃなくて一人の人として扱われたかったという思いがあることがわかりました。
思いを変えるために作った修正文は、「何も持っていないと思うのは勘違いで、たくさんいいものを持ってるんだよ。周りにもあなたを大切にしてくれる人がいっぱいいるよ。だから大丈夫だよ。大人になったら自分で頑張って仕事をして自分が欲しいものを手に入れようね。自分で何でも選べるし、好きなところへも行けるし、その方がもっと楽しいよ」という内容で、幼い自分を思い浮かべて言い聞かせて励ましました。
仕事に影響していた子供の頃の思い込み
――ほかにも思い込みを変えたことはありますか?
現在の問題として、パーソナルスタイリストの仕事の価格設定を取り上げました。価格を決めたものの、こんな価格にしていいのだろうかという罪悪感や、人にどう思われるだろうという不安があったのです。誘導瞑想をすると「認めてもらえない、重荷を負わされた、受け入れてもらえない」という感情が出てきました。
これらの感情の原因となる出来事を見ていくと、中学生の頃に、家族と親戚とでレジャー施設に出かけた時のことが出てきました。親戚のお兄さんとテニスのダブルスを組むことになりましたが、私はラケットを握るのも初めてでした。その時、「和香となんか組んだら絶対に負けちゃうぞ」と父に言われて、すごく悔しくて傷ついたのを思い出したのです。
そこで誘導瞑想で父の思いを見ていくと、父は悪気があったわけではなく、盛り上げるために軽口を言っただけだったとわかりました。それなのに、私は「バカにされた、小さい子扱いされた」と信じ込んで、「いじけてやる、自分を出さない」と決めたのでした。
これらの思いを修正するために本当の望みを見ていくと、「下手でも、失敗してでも自分が楽しいと思うことはやってみたい。挑戦したい」という気持ちが出てきました。そこで、何か言われるのではないかと感じたら、「鳥のさえずりだと思って、気にせずにどんどんやりなさい」と自分に言い聞かせるようにしました。
夫にも相談できるようになり家族仲が良くなって
――ご家族との関係は変わりましたか?
思い込みを変えていくうちに、「どうせ私は」という諦めがなくなり、気持ちが楽になってきました。主人にも「帰りにコンビニでお醤油買ってきて」とおつかいを頼んだり、娘と家でカラオケをするから「パパ早く帰ってきて!」と甘えることもできるようになり、家族でいることがすごく楽しくなったのです。
私は個人事業主としてこれから仕事をしていく段階でしたが、主人は食品卸会社を経営しているので、講師から「目の前にお手本である社長さんがいるのだから、何でも相談してみたらどうですか」と言われました。
最初は抵抗を感じたものの、お客さまへの返信など小さなことも思い切って相談すると、主人は親身になってアドバイスしてくれました。素直に相談したことで、今では主人は、私の仕事の良き理解者でありアドバイザーになっています。
また、主人の会社のことで「もっとこうしたらどうかな?」と私が言うと、主人も「そうか、わかった。変えてみようかな」と言ってくれるようにもなりました。
実家の母も私の話を聞いてくれるようになり、姉からも買い物に来て見つけたという洋服の写メが送られてきて、似合うかしらと、ファッションのことなどで頼りにされるようになりました。
――娘さんにも変化がありましたか?
翌年初め、娘からクラスの男の子二人に目をつけられていると聞かされました。叩かれそうになると、周りの友達が娘のことをかばってくれるといいます。このことを主人に話すと、「周りの友達に守ってもらえるのは娘の人徳かもしれないけど、守ってもらうばかりじゃだめだ、自分でいじめっ子に立ち向かって変えようとしなければ何も変わらない」と言われました。この言葉はまさに今の私に必要なことと思えました。初級のワークで「人を変える魔法」を学んでいたので、娘のことも自分のこととして解決しようと思ったのです。
そこで、「自分の未来は自分で作る! 私にはその力がある! 勇気を出して動け、動け!」とアファメーション*を言い続けました。また、娘には、「友達に守ってもらうばかりじゃなくて、自分で勇気を出してやめてと言いなさい」「ママもママの世界を変えるためにやるべきことを頑張るから、あなたも一緒に頑張ろうね」と言いました。そして、しばらくすると娘が、嫌がらせをされそうな時に「そういうのはやめて」と言い返せたと、嬉しそうに報告してきました。今ではその男の子の一人とは仲良しになったようです。
「自分の世界は自分で変えられるのよ」と娘に話しましたが、フラクタル心理学で「愛とは人を成長させること」と学んだので、子育てに基準ができ、判断に迷うことがなくなりました。
ダイエットの体験を仕事にも活かせるように
――仕事での変化はありましたか?
洋服の着こなしがきれいに見えるように自分自身をさらに磨きたいという思いから、ダイエットコースを学びました。すると、私の中に「ちゃんと食べないと大きくなれない」「食べ物を残しちゃいけない」といった小さい頃からの信じ込みがあることや、食べることで偽物の達成感や幸福感、満足感を得ていることがわかりました。
「もう成長期ではないからいっぱい食べなくていいよ。必要な分だけ食べればいいよ。仕事やほかのことで達成感や幸福感を得るようにしようね」と自分の深層意識(潜在意識)に言い聞かせると、2ヵ月で4キロ痩せることができたのです。
現在は、ダイエットコースの講師の資格も取って講座を開催していますが、10キロ近く痩せられた方など、皆さん結果を出されています。ダイエットできれいになってからパーソナルスタイリングを受けて、さらにご自分を磨かれる方もいらっしゃいます。今後は「外見も心も本来の美しさで歩んでいきたい」をコンセプトにダイエットとパーソナルスタイリングを1つのコースにして提案していきたいと思っています。
*アファメーション:自分への肯定的な言葉
2024年10月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子