母への依存を修正して自分の能力を伸ばす方向に舵を切ると、講座の開催も任されるようになって

母親に支配されていたと感じていた本当の原因を知り、思い込みを変えると、家族との関係も修復でき、新たな目標もできたという花咲奈津さんからお聞きしたお話です。

社会福祉士 精神保健福祉士 フラクタル心理カウンセラー
花咲奈津さん
                 大阪府在住

遺産相続で被害者意識がぶり返して

――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください

15年前に離婚して息子が二人いますが、今は一人暮らしで発達障害者施設の支援員として働いています。3年前に父が亡くなって遺産相続の話が出た時に、母から二人の兄と均等にすると言われましたが、実際は違っており、都合のいいように母に操作されていると感じました。母はいずれ私に面倒をみて欲しいのか、死んだら私に保険金が入るようにするからと言い、曖昧な言動に不信感を持ちました。 

母や兄、息子たちの言動からみても、私はないがしろにされていると感じて、それ以来、うつっぽくなり、母や兄たち、息子たちとも連絡を絶ってしまいました。

長年、母は公文式の塾の先生をしていましたが、教育熱心で、私は子供の頃から母にコントロールされていると感じてきました。逃げようとしても逃げられず、常に母がくっついているような共依存の関係でした。私の結婚や離婚の際にも母がからんできて、特に、離婚の時には、息子たちを引き取ったら、母が関与してくるに違いないと思い、息子たちに私と同じ思いをさせたくないことから、子供たちを手放しました。

20代の頃から心理学を学んだり、カウンセリングやヒーリングを受けてきて、母のことは許したし、感謝している、楽になったと思ってきましたが、遺産相続の件で被害者意識がぶり返し、母への恨みつらみが噴き出したのです。そんな折、ウェブでフラクタル心理学のことを知り、昨年4月から講座を受講し始めました。

入門を受講して、思考の現実化の仕組みを知ると、問題は私が作りだしたものとわかってきました。母の日に行われたフラクタル心理学のランチ会で、「お母さんに謝ったら」と講師に言われ、絶対に無理と思いましたが、この機会を逃したらもう言えないと意を決して、母に電話しました。申し訳ありませんでしたと謝ると、逆に母は私のことを気遣ってくれ、母の思いに触れて涙が溢れました。

その後、美容・健康コースを受け、美や健康も自分の思考が作り出すと知った頃、実家に戻ると、古かった家が建て直されていました。太陽光発電に耐震や水害対策もして、安心で快適な住まいに生まれ変わっていたのです。美容・健康コースで私の心が若返ったように、実家も生まれ変わったようでした。母は文章教室に通ったりと、とても元気にしていました。

兄たちへの勘違いを正すと家族旅行をすることに

――そのほかにも修正したことはありますか?

中級受講後に、一色真宇先生のグループカウンセリングを受けました。これからカウンセラーとしてやっていきたいと話すと、話が曖昧な様子から罪悪感があると指摘され、チャイルド*が多いと言われました。チャイルドに、「大人の自分の言うことを聞きなさい」と言い、パンチ法*でビシビシ躾けるようアドバイスされました。

その後、カウンセラー養成講座に進み、誘導瞑想のワークでは、イメージの中で、父や8歳と11歳上の兄たちにからかわれて怒りに駆られる場面を見ました。ところが、その場面をよく見ると、私はできなくても優遇されて当たり前と思っていて、何でもできる父や兄たちのことを性格が悪いとか、口が悪いと思っていたこと、にもかかわらず、父や兄たちからとても可愛がられていたことがわかりました。

私は「本気の修正」をすると決めて、謝罪ワーク*で実際に頭を床に擦り付けて、1ヵ月間、心の中で両親と兄に謝りました。すると、35年ぶりに母と二人の兄と一緒に旅行することになったのです。兄二人は関東で、私だけ関西で実家も近いので、母に何かあったときには、私が実家を引き継ぐという話も出て、兄たちも私のことを考えてくれているとわかりました。

私は発達障がい者の支援に携わっていましたので、フラクタル心理学の発達障がいの講座を学ぶと、私には発達障がいや認知症になり得る思考がとても多いとわかりました。私の中の「全部自分に合わせて欲しい、好きなことだけしていたい」という思考を修正すると、施設の発達障がい者で、自分の思い通りにならないと反抗する人が、徐々に人の言うことを聞くようになったのです。

自分のほうが母に寄生していたとわかって

――コントロールされるという思いは変わりましたか?

私は長年、母にコントロールされていると思っていましたが、カウンセラー養成講座中に受けたカウンセリングで、私のほうが母にくっついていることを望んだのだとわかりました。

そこで、 これまで母に支配されてきたしんどさ、辛さを癒す修正文と共に、「最初は、お母さんにくっついていれば守ってもらえるし、努力しなくてもお母さんがやってくれるから楽と思ったんだね。そうやって寄生してきたから、能力も伸びなかったし、成長が止まってしまったんだよ。だから周りと比べた時に『私ってダメなんだ』って感じたよね。それも嫌だったね。本当は地道にコツコツと一生懸命やっていけばよかったんだよ。これからはお兄ちゃんたちを見習って、自分のことは自分でやって、『お母さんは私のもの』としがみつくのをやめて、自分で生きる力を身に付けなさい」という修正文を読みました。

私が離婚したのは長男が13歳、次男が8歳の時でしたが、その後は、私からよく息子たちに会いに行きました。息子たちが大学で関西に来ていた一時期には、一緒に住んでいた時もありましたが、離婚して息子たちを手放しているので、私はダメな母親という思いが強くありました。そこで、朝夕15分、元夫や息子たち、夫の親族にも謝罪ワークで謝り続けると、本当に申し訳ないという気持ちになり涙が溢れました。

この頃、念願のフラクタル心理カウンセラーの資格を取り、お茶会や勉強会を定期的に開催して、カウンセラーとして相談を受けるようにもなりました。

修正と謝罪ワークを続けると次男が就職

――チャイルドは変化していきましたか?

長男から連絡があり、結婚するのでお嫁さんに会わせたいと言われ、次男と母と5人で会食しました。とても嬉しかったのですが、結婚式には呼ばれなかったことでまた被害者意識が出てきました。もし結婚式に呼ばれていたら、号泣して、迷惑になるから、それでよかったという思いもありましたが、一方で、「何で私は呼ばれないの? もういいわ!」と拗ねていたのです。

そこで、一色真宇先生のカウンセリング受けると、私の深層意識の中では、チャイルドに比べて大人の自分の勢力が弱過ぎると言われました。「大人の自分を褒めなさい。そして、大人の自分が仁王様のようになって、これまでの人生が、チャイルドのせいで、どれだけ大変だったかとチャイルドを叱りつけ、土下座をして反省させなさい。あなたの未来の人生にチャイルドを協力させるようにしむけなさい」と教わりました。

このワークを本気で1ヵ月した後、私がカウンセリングをしているクライアントさんにも、働いていなかった人が働き出したり、ジムに通うようになったり、8キロダイエットできたり、一級建築士を目指して成績が良くなったなど多くのポジティブな変化がありました。また、中学校は不登校気味で、大学を卒業してからもフリーターをしていた次男から、ちゃんと就職したと報告があり、とても驚き、本当に嬉しく思いました。

カウンセラーとして新たな目標ができて

――これからの展望などお聞かせください

私は長年、介護支援専門員として、認知症の方とのコミュニケーション技法を学んで、認知症の方や家族のケアをしてきましたが、一色先生のカウンセリングを受けた時に「認知症の方を世話している家族に向けて、自分も認知症になるかもしれないという不安を解消するプログラムを作ってはどうですか」とアドバイスいただき、未来に向かって目標を持つことができました。

同時に、フラクタル心理学の発達障がいの講座の講師からも、「この講座を引き継ぎませんか」とご提案いただきました。とてもいいお話をいただき、これからは、発達障がいの講座を開催しつつ、認知症の家族に向けた講座を作っていきたいと思っています。

*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
*パンチ法:シャドーボクシングのように言葉を発しながらパンチをする思考の修正法
*謝罪ワーク:イメージの中の相手に向かって土下座するワーク

2024年10月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子