
思い込みを変えて、自分の課題に新たな定義づけをすると、理想の結婚ができ、仕事も大きく発展したという野﨑大輔さんからお聞きしたお話です。
人材教育者
野﨑大輔さん
神奈川県在住
ストレスがなくなり仕事の幅も広がって
――以前も取材させていただきましたが(Vol.67)改めて学んだきっかけと変化についてお話しいただけますか?
社会保険労務士として独立して、経営者側での労働問題対応を行ってきました。仕事一辺倒の生活でストレスから体調不良になることがありました。2018年に友人からフラクタル心理学の話を聞いて「今の自分に必要かもしれない」と思い受講しました。すると、私は「成功には苦労がつきもの」と思い込み、自ら作った苦難を乗り越えることで達成感を得る「穴掘り思考」をしていたとわかったのです。仕事は「苦しいもの」ではなく「自己成長の機会」と考え方を切り替えると、感情のコントロールが上手くできるようになりました。
中級講座の「未来の5ヵ年計画」で「動物病院業界の組織人材開発のコンサルタントとして一番になる」と書くと、動物病院のクライアントが増えてきました。またこれまで父親を見下していましたが、上級講座を受講して、長年の父への思いもひっくり返ったのです。
フラクタル心理学の講座で妻と出会う
――その後も講座を受講して大きな変化があったとのことですが?
講師から「仕事をもっと発展させるには結婚したほうがいいですよ」と言われていました。フラクタル心理学では「相手は自分の深層意識」と考えるので、これを自分の深層意識からのアドバイスと受け取って、婚活を始めますが、出会いはあっても結婚には至りませんでした。
2020年にカウンセラー養成講座を受講すると、私には「結婚すると自由に使える時間やお金が減る」という思い込みがあることに気づきました。そこで、改めて自分にとって結婚とは何かを考えると、「M&A」という単語が思い浮かんだのです。M&Aとは合併と買収により企業同士が互いの強みを生かして相乗効果を生み出し、業績を上げて成長することです。これだと思いました。結婚とは自分にないものを持っている人と補完し合って、良い人生を築くことであり、「結婚とはM&Aである」と自分なりに定義し直したのです。
結婚のメリットが明確になると、その後はすべてがスピーディに進みました。カウンセラー養成講座後に受けたビジネス向けのMBIP講座で、向かいの席に座っていた女性と結婚することになったのです。最初は、何気ない会話のなかに「しっかりしている人だ」という印象を持ちました。実家が私の実家と同じ市内であることにも驚きました。

結婚相手に求める理想像として、実家が関東、身長や職業など細かい条件を挙げていましたが、妻はその8割を満たしていました。講座で出会って1ヵ月後には結婚を前提に付き合い始め、その3ヵ月後の2020年11月に入籍しました。
新事業で組織ができ、本業のコンサルタントの仕事も発展して
講座で「家庭と会社は相似形」と聞いていましたが、私に家庭という組織ができると、仕事でも組織ができました。コロナ禍で売上の減少を経験して、人と会わなくても仕事ができるビジネスモデルの必要性を考えていたところ、知人からの紹介で障害年金の申請代行を始めることにしました。そして依頼者とのやり取りは電話かSNSでのやり取りでできる非対面型のビジネスモデルを構築することができました。
私が実務を一切やらずに組織のマネジメントに徹することができるように、事務として数人採用しました。出社不要の在宅勤務で全員集まるのは月1回のオンラインでのミーティングのみ、私と対面で会うのは年に2回程度です。未経験で始めた人ばかりでしたが、そんな状態でも着実に成長して勤勉に業務をこなしてくれ、売上も順調に伸びているので増員して組織を拡大する予定です。フラクタル心理学では「自分の深層意識が相手に投影される」と言いますが、これまで私は自己中心的な傾向にあったのですが、講座で学んで視野が広がり、大人の思考ができるようになったのだと思います。
私は理想の人材像を「自立しつつも良いチームワークを築き、協力して仕事をできる人」としていますが、理想に近い人材になっています。
今年は前期に掲げていた数値目標を達成したので、スタッフ全員でセブ島への慰安旅行に行きます。今期で4年目となりますが、スタッフ3名で競合他社の約3倍の仕事量をこなせる少数精鋭の組織へと成長し、この事業だけで売上は年商1億円に達する見込みです。
また、私の専門である動物病院のコンサルティングでは、スタッフ数30名以上の規模の、地域トップクラスの動物病院のお客様が増え、スタッフ数100名規模の動物病院の社外取締役のご依頼もいただくようになりました。動物病院は人材の流動性が高い業界ですが、スタッフが定着し、成長できる組織作りのための人材育成と組織作りを行っています。
将来の望みをノートに書き留める
――家庭運営にもフラクタル心理学の考え方を活かされていますか?

結婚して2年後に息子が、さらに2年後に娘が誕生しました。妻はフラクタル心理学をベースにした育児に関する講座を受講して、その知識を育児に役立てているので助かっています。息子は話し始めるのが早く、夜泣きもなく、病気もほとんどしないため、あまり困ることはありません。フラクタル心理学が夫婦間の「共通言語」で、お互いが深層意識の投影だと理解できるので、相手を責めることなく、それぞれがやるべきことを率先して行っています。
講座で「思考はたまることで現実化する」と言われて、これまで毎月のように海外の有名リゾートに行っては、将来を思考して、目標をノートに書き留めることを習慣にしてきました。未来をイメージして、そうなった未来から逆算して戦略を立て、取るべき行動を段階的に決めていくのです。それによって帰国後は心身がリセットされ、仕事のパフォーマンスが上がり、運気も良くなり、依頼も増えるという好循環が生まれました。
当時まだ独身でしたが、世界的に有名なリゾートホテルを訪れた際に、裕福そうな家族を目にして、「あのような家庭を築きたい」と思ったことがありました。その思いが実を結び、一昨年には家族でバリ島の高級リゾートへ行くことができました。息子はまだ一歳でしたが、かつて思い描いていた理想の家族像を実現できたと感じています。

――今後の展望を伺えますか?
現在は法人向けの仕事に携わっていますが、今後は個人を対象とした教育事業にも力を入れていきたいと考えています。人生を経営するという観点では、誰もが自分自身の人生の「経営者」であると言えるでしょう。
私自身の体験から、理想とする人生を築くためには、まず自分の内面を変えることが重要であると実感しました。一人ひとりが自分の理想とする人生を創造できるように、その方法を伝えて、日本の発展に貢献していきたいと考えています。
かつて、仕事に追われながら我武者羅に働いていた独身の頃と比べると、現在の仕事量は1.5倍以上に増えていますが、まだまだ余力を感じています。講座で学ぶうちに、うまくいかないことや達成できないテーマがあるときには、そこに自分自身の定義の間違いがあることを知りました。そのような時には、まず自分にとって有益な定義へと切り替えること、意識を集中させて適切な行動を取ることで、現実が変わり、望む未来を手にすることができるようになったのです。
結婚に関しても、私自身が「結婚はM&A」と定義した通りの結果となり、結婚を通じて、精神的にも経済的にも豊かさを感じられるようになりました。もう少し大きくなったら、子供たちにもフラクタル心理学の考え方を教えていきたいと思っています。
2025年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子