
フラクタル心理学の考え方を取り入れると、仕事の依頼が増え、娘と息子も就職先で待遇が改善し、元夫とも復縁したという石橋理子さんからお聞きしたお話です。
ペットシッター士
石橋理子さん
東京都在住
私が自分の深層意識を変えるとパートナードッグに変化が表れて
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
30歳のときに離婚し、娘と息子を連れて、元夫と義母の住む家を出ました。自宅ではシェパードを常時2頭飼育しており、40歳から自分の犬と共に捜索救助などにも活躍するワーキングドッグの訓練を趣味で学び始めて、IGP(国際作業犬訓練試験)のハンドラーとしてデビューしました。
当時、パートで働いていましたが、得意な犬の訓練を仕事に活かせないかと思い、以前からブログを読んでいた、フラクタル心理学を学んでいる方が開催する、起業を目標にした女性向けのオンラインスクールに参加しました。そこでは、被害者意識を減らし、得意なことや能力を伸ばすことで起業をサポートしていました。学び出して半年後、私はペットシッターとして独立し、プライベートでもシェパード犬協会の世界組織であるWUSV世界大会日本代表としてヨーロッパ大会に出場するほか、IGPの日本代表選手権でも数度にわたり入賞することができました。

独立して2年ほどは順調だったものの、その後、仕事がうまく回らなくなり、起業のオンラインスクールで取り入れていたフラクタル心理学の考え方を改めて学んでみたいと思い、2020年からマスターコースを受講し始めました。
講座では「思考が現実化することに例外を作らない」「100パーセント原因を自分に戻さない限り問題は解決しない」と講師から告げられましたが、原因がすべて自分にあるというのは厳しすぎるし、テキストに出てくる事例も他人事にしか思えませんでした。
ある日、家に帰って、講座で言われたことを紙に書き出すと、冷静に受け取ることができたのか、講師が言わんとしていることが腑に落ちたのです。「厳しいことを言ってくれるのは、価値を提供しようとしてくれているからで、私に成長してほしいからだ」と気づき、講座の話をすべて自分事として聞き始めると、次々と認識がひっくり返っていきました。
まず、私がパートナードッグとして競技大会に出場させていた飼い犬の問題について、講座で話しました。この犬は競技本番でリンクインすると、ハイテンションになって集中力が落ち、いい結果が得られませんでした。
誘導瞑想をすると、幼稚園の手洗い場でふざけて遊んでいる場面がイメージの中に出てきました。私は蛇口に手を当てて、周りが嫌がるのも気にせずに、水を飛ばして喜んでいましたが、しまいには先生に叱られて、廊下で立たされて泣いてしまったのです。
講師から「周りの迷惑も考えずに、自分勝手に盛り上がっていますね」と指摘されると、パートナードッグも全く同じ状況にあると気づきました。私の深層意識がパートナードッグに投影されていると知って驚き、次のような修正文を読みました。
「自分だけ楽しんでいるけれど、本当はみんな迷惑していたんだよ。これからは勝手にふざけるのはやめようね。みんなと一緒に協調していこうね」
これを読み出すと、パートナードッグは私の指示に集中するようになり、パフォーマンスが上がって大会でも良い成績が取れるようになったのです。
愛の定義を変えると犬の腫瘍がなくなって
――他にも変化したことはありますか?
中級、上級講座を学んでいた頃に、パートナードッグのお腹に大きな腫瘍ができていることがみつかり、ショックを受けました。カウンセリングで誘導瞑想をすると、「お母さんに構ってほしい」「病気で世話されていた妹が羨ましい」という思いが出てきました。
私には2歳上に兄と12歳下に妹がいますが、妹が生まれて、両親がとても可愛がる様子を目にして、「妹が生まれるのを楽しみにしていたし、もう小学6年生なんだからヤキモチを妬くなんておかしいよね」と自分に言い聞かせたのを思い出しました。それでも、お姫さま扱いの妹に比べて、家事の手伝いばかりさせられることに、理不尽さを感じずにはいられませんでした。
講師から「世話をすることが愛だと思っていると、世話をしないと自分のことが愛のない人間だと感じて、 周りに病気や事故を作り出して、世話をしようとします」と諭されて、「愛の定義」を書き換はるために、次のような修正文を自分に言い聞かせました。
「世話されることが愛ではないよ、成長させてくれたことこそ、お母さんの愛だよ。あなたに素晴らしい人生を送って欲しいとお母さんは願っていたんだよ。 妹はずっと病気で、お母さんに世話されていたかもしれないけれど、その代わりにあなたが得た多くの素晴らしいものを手に入れることができなかった。だから、愛を感じるために、わざわざ世話されるような状況を作り出すのはやめなさい。そうではなくて、自分で自分にたくさんの良いものを与えなさい。そして、能力を上げて、人生をより素晴らしいものにしていきなさい」
さらに、パンチ法*で「もう腫瘍はいらない」「自分でなんでもやれ、自立しろ、成長しろ」と半年ほど自分に言い続けると、1年後には犬のお腹の腫瘍がきれいに消えてなくなっていたのです。
自分を責めるのをやめ、母の深い愛を知る
また、別の犬が子犬の時のことですが、コーチを交えたトレーニングの際に、コーチに対してはたまらなく楽しそうな顔をするのに、私には「お母さんだとつまんない」というような態度を取るので、「どうせ私のことなんか嫌いなんでしょ」「私なんかに育てられてかわいそうにね」と、自虐的な気持ちになる時がありました。
講師のカウンセリングを受けると、「イライラした時や、優しくできない時には、自分を責めるのではなくて、逆にそれでも世話をするなんて、私には愛があると思うようにしてはどうでしょう」とアドバイスされました。そして、次の修正文を何度も自分に言い聞かせました。
「一番世話になっているお母さんを見下して、たまに甘やかせてくれる責任のない相手に対していい顔をしているよね。大事に育てているのに、そんな態度をされたら、お母さんはとっても悲しくて、苦しくなるよね。お母さんは自分が悪者になってでもあなたのことを躾けようとしているんだよ。本当の愛のある人はお母さんなんだよ。いますぐにわがままはやめなさい! お母さんに感謝して、素直に言うことを聞きなさい!」
現在、この犬は4歳になりましたが、素晴らしいパフォーマンスができるようになったので、これから競技にデビューさせようと思っています。
息子と娘は転職して収入が倍に 両親への思いを修正すると復縁して
――ご家族にも変化がありましたか?
私が飼い犬との関係性を変えるために深層意識を修正して、私自身の依存心や自虐的な気持ちを変えていくと、子供たちにも大きな変化がありました。初級受講の2ヵ月後には、就職先で悩みを抱えていた息子が転職して、お給料が倍になりました。娘は労働環境の過酷さから、精神的に病んで仕事を辞めてバイトをしていましたが、私が中級、上級講座と学び進めると、突然「もうバイトの身はイヤ」と言って、企業に就職しました。その後、仕事ぶりが認められて、娘もお給料が倍になりました。
また、私の両親に対しても、育ててもらったのに何の感謝もしてこなかったことを申しわけなく思い、毎日、謝罪ワーク*で謝りました。父のことも「お父さん」として甘える対象ではなく、一人の男性として見てみると、なんと強くて頼りがいのある人だろうと再認識しました。
私の住まいは、元夫と暮らしていた家から10分ほどの距離にあり、離婚後も子供たちのことで元夫と連絡は取っていました。講座で学ぶうちに、元夫は子供たちの養育費を出してくれていたにも関わらず、元夫がすることに心の中でケチをつけたり、私のほうが正しいと偉そうに思ってきたことに気づいたのです。とても申しわけなく思い、元夫にこれまでのことを詫びて、とても信頼していることや感謝していることを直接伝えました。
その後、元夫は本社の支店長に栄転し、遠かった勤務先も近くになりました。そして、昨年、離婚から25年を経て、私たちは復縁しました。これからはお互いを尊重しながら、仲良く暮らしていきたいと思っています。
フラクタル心理学の知識を犬の躾に取り入れて
――お仕事では何か変化がありましたか?
私も、訓練コーチの時と私の時では、犬の態度が違うと感じましたが、ペットシッターとして伺ったお宅で、愛犬の態度が同じように変わる様子を見たお客さまから、「どうしてあなたの言うことは素直に聞くのかしら?」と問われることがたびたびありました。「私が毅然とした態度を取るので、犬もきちんと行動できるのです」と答えると、どうしたらそうなるのか教えて欲しいと言われたことをきっかけに、昨年からペットシッターと並行して、躾のトレーニングも請け負うようになりました。
最近学んだ家族関係コースでは、フラクタル心理学を学んでいないかたでも理解できる言葉で親子の関係が説かれているところが素晴らしいと感じました。犬の躾のトレーニングでは飼い主さんご自身にレッスンをしていただくのですが、講座で学んだ言葉を一部使って、「厳しくできるのは、愛があるからなんですよ。無関心が一番愛のないことです。相手は鏡なので、ご自分が決めたことが犬に映し出されます。本気でなければ本気は伝わりません」「本当にこの子のためを思い、愛があるのなら、きちんとやめるべきことは、やめなさいと言えますよね。 自分がそれを言いたくなくて、厳しくできないんですよね。それは誰のためなんでしょう?」と愛犬への接し方を伝えています。
飼い主さんが十分ご理解くださると、実際に愛犬が変わるので、大変ご満足いただけるようになりました。
犬のトレーニングは、その瞬間ごとに次の行動を判断して、犬に伝えていくプロセスがとても楽しく、創造性にあふれた仕事だといえます。しかし、これまでペットシッターとして仕事をするなかでは、私自身が培ってきたトレーニング技術を活かす機会はあまりありませんでした。その後、フラクタル心理学を学んだことで、犬に投影された自分のチャイルド*を修正すると、犬が変わるだけでなく、自分自身の成長に繋がることを知り、それをお客さまに伝える方法も学ぶことができたのです。
これから躾のトレーニングのための新たなレッスンメニュー作りを始めようと思っています。お客さまと愛犬がさらに深い絆を築けるように、そして、愛犬が「真のパートナー」と呼べる存在になるように、積極的に関わっていきたいと思っています。

*パンチ法:シャドーボクシングのように言葉を発しながらパンチをする思考の修正法
*謝罪ワーク:イメージの中の相手に向かって土下座するワーク
*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識の中の成長しきれていない未熟な一部
2025年4月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子