人と繋がることができず生きづらさを感じてきた私が、全国チェーンの飲食店の店長になり優秀店長として表彰されました!

人と協力して仕事ができるようになり、売上げもアップしたという山田智子さんからお聞きしたお話です。

                    会社員
                山田智子さん
東京都在住

人に意識を向けていない自分に気づく

――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください

中学生の頃から、人と関わることにどこかストレスを感じ、集団の中にいるのが苦手でした。結婚して息子が保育園に通うようになると、ママ友との付き合いを避けることができず、息苦しさを感じるようになりました。知人から勧められてフラクタル心理学の講座に通い始めたのが今から7~8年前のことです。

最初に、講座で「あなたの長所は?」と聞かれて、「純粋で天津爛漫なところです」と答えると、講師から「自分を美化していますね。天津爛漫とは子供っぽいことで、チャイルドが躾けられずに野放しにされた状態です」と言われました。

腑に落ちないまま講座を学び進めると、私のチャイルドはとても偉そうで、人に負けたり恥をかいたりしたくないので、人と関わらずに人を遮断して生きてきたこと、仕事でもレベルの低いところで、私の方ができると、周りを見下してきたこと、そして、何かを身に付けるでもなく、嫌なことがあると、会社や上司を批判して辞めるパターンを繰り返してきたことがわかりました。

講師から「自分ばかりで人に意識を向けていませんね。その偉そうなチャイルドをちゃんと躾けなさい」とアドバイスされました。私は常に「自分がどう扱われるか」や「周りが自分の思い通りに動いてくれるか」ばかりを気にしていたのです。自分が自己中心的で、甘えやわがままの塊だったと気づき、チャイルドを躾けるために「できると言うならやってみろ」「ぐうたらするな」と、強い言葉でアファメーション*を繰り返しました。

同じ頃、一色真宇先生の個人カウンセリングを受け、パートで勤めている職場で、人間関係が原因で仕事がやりにくい、と相談すると、「本気で仕事に向き合わずに、給料泥棒をしていますね。ちゃんと意識しなさい。あなたのために雇い主はお金を払っているのですから」と諭されました。文句ばかりで、お給料に見合う働きをしていないことにも、今更のように気づいたのです。

父への思いが変わり店長にチャレンジする

――その後、大きく変化したことはありますか?

実家は日用品や食品、灯油などを扱う個人商店で、祖父が創業し、父がその後を継ぎました。私の中では、「お店を一から始めた祖父はすごいけれど、そのまま継いだ父は楽をしている」と、どこかで父のことを軽く見ていたところがありました。

その思いを上級講座で話したところ、講師から「創業者の跡を継ぎ、事業を拡大させたお父さまも立派だ」と言われ、ハッとさせられました。考えてみると、父は祖父のもとで働きながら、祖父のやり方を見て学び、技術や経営を身につけていったのです。反発ばかりしていた私には、到底真似できないことを成し遂げていました。

父は四人兄弟の次男でしたが、祖父に認められてお店を継ぐことになりました。家族経営では子どもたちも立派な戦力です。父は小学生の頃から家の手伝いをし、高校では部活動にも入らず、学校から真っ直ぐ帰ってお店の仕事をしていたそうです。

そうやって父の歩みを振り返るうちに、一つひとつ地道に積み上げてお店を大きくしてきた父の姿が見えてきて、父は立派な経営者だったのだと、心から思えるようになりました。

2022年9月にパートで勤め始めた全国チェーンの飲食店は、パートでも店長に登用されるシステムがあり、父への思いが変化したことで、私も店長にチャレンジしようと思うようになりました。店長になるためのトレーニングを受け、1年後の2023年9月に44歳で店長になりました。さらに1年後の昨年10月にはパートから正社員になりそのまま店長を続けています。

最初の頃、やる気がなくて仕事ができないのに、「トレーニングセンターでは習っていない」などと偉そうに言う外国人のスタッフがいて困っていました。これは私自身だと思い、「周りに従え」「何もわからないのに偉そうにするな」「口だけじゃなくちゃんと行動で示せ」と自分のチャイルドに言い続けると、そのスタッフは帰国すると言って辞めました。自分を修正すると周りが変わることに改めて驚かされた出来事でした。

これまでずっと「周りは敵」と思っていましたが、講師から「周りはあなたを成長させてくれる協力者です。本当に周りは協力者しかいないんですよ」と言われたことが心に響きました。

私には年子の兄と4歳下に弟がいますが、自分より優れていると思うと、自分が負けたように感じるので、兄弟にも近づかないようにしていました。それが「兄は一緒に弟の世話をする協力者。弟は私に成長の機会を与えてくれた協力者」と捉えるようになると、兄弟との関係も良い方へと変わりました。両親のことも、切磋琢磨して店を切り盛りし、互いに成長し合う私の理想の夫婦像と思えるようになりました。

職場でも、店長同士は売上げを競い合うライバルではなく、切磋琢磨して良い店にしていく協力者、お店のスタッフは一緒に良い店を作り上げる協力者と思えるようになりました。

食品衛生責任者および優秀チェーン店長として表彰されて

――仕事では何か修正されたことはありますか?

飲食店の基本はQSC+H (クオリティ・サービス・クレンリネス・ホスピタリティ)と学び、その中でまず、誰がやっても同じクオリティでお客様に提供できるように、マニュアルを徹底的に指導することにしました。講座で「親が決めたことを守る」と学びましたが、マニュアルイコール親が決めたことと思い、それをきっちり守ろうと決めました。最初はスタッフに嫌な顔をされたりもしましたが、これも自分だと思い、率先垂範で私がマニュアルを遵守すると、スタッフみんなが守るようになったのです。

さらに、徹底的に清掃にこだわって、清潔な店舗にすることに努めると、店舗が入っている商業施設からの推薦で、食品衛生協会から優秀な食品衛生責任者として表彰されました。この表彰に加えて、前年度比で売上げは112.0%、客数は102.9%となり、2025年1月の客数は前年の108.0%で半期での最高数値となり、全450店舗から6人が選出されて、本部から優秀チェーン店長として表彰されました。

店長という責任ある仕事に、真正面から取り組むようになると、自分に自信が持てるようになり、スタッフの成長も自ずと信じられるようになりました。スタッフにも、手間を惜しまずお客様に良いものを提供し、かつ食品ロスも減らそうと、自分たちで考えて行動する自主性が生まれました。

2025年春に、私が育てたスタッフ2人が正社員に昇格して抜けてしまい、人が足りなくて困っていることを、個人カウンセリングで一色真宇先生にご相談しました。すると、一色先生から意外なことを言われたのです。

「スタッフが卒業するのはいいことです。その飲食店をただの飲食店と思うのではなくて、ここは経営者を育てる経営者学校なんだと思いなさい。うちの学校に来たら、原石が磨かれて光り輝くダイヤモンドになるように『学びに来た人が経営者にもなれる』と、そのように思考をためていけば、不思議とお店に惹かれる人が次々と集まってくるようになります」

何ごとも思考次第でイメージが大事だと教えられて、目の前が明るくなりました。先月、「知り合いに働きたい人はいませんか?」とスタッフに呼びかけた時にはよい返事がなかったのですが、「ただの飲食店ではない、『経営者の学校』なんだ。そして、『周りは味方、私の協力者』なんだ」と私自身の思考を変えると、現スタッフからの紹介で新しく3名の応募があり、改めて、すべては自分の思考次第だと納得しました。

先日、同じエリア内の店舗で店長が不在となったことを受け、「ぜひ私に2店舗の兼任をさせてください」とエリアマネージャーに申し出ました。そのためには、まずシニア店長への昇格が条件となるため、昇格試験に向けて勉強を始めています。これまで、仕事を通じてお給料をもらいながら、必要な知識やスキルを身につけさせていただけたことに、改めて感謝の気持ちが湧いてきました。そう感じられるようになると、日々の出会いや出来事すべてが、未来へとつながる「種」のように思えて、毎日が本当に楽しくて仕方がありません。

*アファメーション:自分への肯定的な宣言

2025年7月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子