父親への思いを正して、深層意識を変えていくと、部下や同僚が変わり、会社組織も著しく成長し、将来への展望も生まれたという秋川悠大さんからお聞きしたお話です。
会社員
秋川悠大さん
福岡県在住
深層意識の父への思いを変えると職場の人間関係が改善して
私が初めてフラクタル心理学を知ったのが2022年、アマゾンでおすすめ表示された『ひとを変える魔法』(白石美帆著 同文舘出版刊)を購入したことからでした。本に書かれた内容を興味本位で試すと周りの人が変化することに驚き、入門講座から受け始めました。
中級講座で父に対する思いを見るワークをした時に、心の内側から何かが大きく変化したと感じました。私の父はサービス業と兼業農家の掛け持ちで、休みの日も農作業に出ていたため、長期休暇をとって家族で旅行に行くことも、どこかへ連れて行ってもらうこともありませんでした。小学生の頃、周りの友人が塾に通い始めたので、私も行きたいと父に頼んだところ、「学校の勉強だけで十分だ」と一蹴されてしまいました。結局、母が父を説得して塾に通わせてもらいましたが、父に冷たくあしらわれたことが寂しくてたまりませんでした。
一方、いつも私に寄り添ってくれる母のことは大好きでした。母を最優先にしない父を「自分の大切なものを大切にできない人間はだめだ」と見下すようになり、いつしか軽蔑の念を抱くようになったのです。
父に対する思いを講座で話すと、講師から「お父さんのヒエラルキーが低いですね」と指摘されました。フラクタル心理学では深層意識の思いが相似形として周りの世界に映し出されると考えます。だとすれば、私の現実は、ヒエラルキーの統制ができていない世界ということになります。
当時、私は大手化学メーカーの研究開発部署の中間管理職、いわゆる係長クラスの職位にありました。しかし、立場が下の社員から生意気な口をきかれたり、本来担当ではない仕事を「そちらの部署の仕事でしょう」とばかりに押し付けられたりすることは日常茶飯事でした。また、時間のかかる仕事だとわかっていながら、「早くやれ」とせかされるなど、理不尽に感じることが多々ありました。
思えば父は、私がまだ寝ている早朝に出勤し、夜9時を過ぎてから帰宅するような生活で、仕事一筋でした。父が家族を養ってくれたおかげで、私が大学まで進学できたことは頭では理解していましたが、長年の反発心から、それを素直に受け入れることができませんでした。
そのように深層意識のチャイルド*の反発が多い状態を変えるには、謝罪ワーク*をするといいと講師からアドバイスされて、抵抗を感じながらもとにかく声に出して「お父さん、ごめんなさい」と、朝と就寝前に謝罪ワークを続けました。すると驚いたことに、会社の人間関係が改善していくのが、手に取るようにわかったのです。職場の部下や同僚からの反発が明らかに少なくなり、他部署の人たちからの筋違いな要求やクレームも減りました。
自分を変えると部下も変わり、修正により「チームビルディング」に取り組む
講座では、講師のアドバイスを受けながら深層意識を変えるための修正文をつくるようになりました。その後、自分でも上手に修正文を作れるようになりたいと思い、フラクタル心理カウンセラー養成講座を受講しました。
講師からは「日常で何か変えたいと思う修正ポイントがあったら、自分の中に相似形を見つけて、必ずその当時の自分か、幼少期の自分に戻って、ちゃんとチャイルドに間違いをわからせるようにしてください。小さなことからでも、1歩ずつやっていくといいですよ」とアドバイスされました。
そこで、住まいの共同ゴミ捨て場に、よそからゴミを捨てに来る人がいて困っている話をすると、講師から「何か引っかかることはない?」と促されて、たまに高速道路のサービスエリアで車内のいらないものを捨てたり、コンビニのゴミ箱にコンビニで買ったもの以外のゴミを捨てていたと気づきました。そのことをチャイルドに教えて、ゴミを捨てるのを止めると、よそから共同ゴミ捨て場にゴミを捨てる人もいなくなりました。
また、スーパーで生鮮食品を入れる半透明の小袋に、入れなくてもいい食品を入れて袋を集めるのを止めると、会社で備品を持っていく社員がいなくなりました。
会社の経費で買ったのに、数度使っただけで、高額な機械を倉庫行きにしてしまう同僚がいました。これは、私が高校生の時にマウンテンバイクが流行り、母にねだって衝撃を緩和させるサスペンションまで一緒に買ってもらったのに、結局使わずに捨てたことを思い出し、「使う時に買おうね。必要になった時に買おうね」と自分に言い聞かせました。
職場で「でも」「だって」「だから」と言い訳ばかりの部下や、いかに正しく言われた通りにやって失敗したかを力説して責任逃れをする部下を見つけた時には、「言い訳ばかりしていないで、自分のどこがいけなくて、何が問題で失敗したか整理してごらん」と修正文を作って自分に言い聞かせました。
出社して昼過ぎまで雑談をし、夕方頃にようやくやる気スイッチが入り、適度に残業代を稼いで帰る「だるいっすね」が口癖の部下には、「やる気って待ってても出てこないから、やる気を起こさせるための努力は自分でするべきだよ」と自分に言い聞かせました。以前、私も遅くまで残業しながら、「この年初方針、意味なくないですかね」と言っていたのを思い出して、「そのような発言をすると、周りは士気を落とすよ」と過去の自分を正しました。
チャイルドの修正では分析とそれに対する修正が合っていれば、問題は消えていきました。消えない場合は、もう一度、仮説を立てて検証するというように、トライアンドエラーを繰り返しながら修正していきました。
その結果、問題のある社員たちは異動願いを出して部署を去り、彼らが抜けたあとには、他部署から非常に優秀な人材が配属されてきたのです。残った者もまるで別人のように真面目に働き始めました。このようにして私の部署の「チームビルディング」は私の深層意識の修正によって改善できたと言えます。フラクタル心理学の修正法は、コンサルタントを入れてチームビルディングを行うよりも遥かに優れた方法だと身を以て感じました。
深層意識を使って未来を作る / チャイルドの統制とヒエラルキーの統制
その後、MBIP(マスターブレインインストールプログラム)やフラクタル未来計画手帳の講座で、未来を作っていくためのマインドセットの方法を学びました。私の場合は研究開発部門なので、製品に至るまでの研究開発プロセスの組み方や、製品完成後の市場への導入方法といった未来のビジョンを綿密に描くことにしました。深層意識にそれらを十分に落とし込むことができると、深層意識レベルでは必要な情報・人員・予算が集まる設定が整ったと感じました。私自身がすることは、責任を持って目の前のやるべきことを淡々とこなすことでした。
また、未来計画手帳の講座では、毎月のフォローアップで、チャイルドの修正についてアドバイスを受けたり、深層意識の統制方法を学びました。特に、講座で薦められた音声教材『Realize your Dream』(一色真宇著 アクエリアス・ナビ刊)に収録された「100人の兵士」の部分は繰り返し聴きました。
イメージの中でチャイルドを100人の兵士に見立てて、将軍の私がチャイルドの統率を取り、目標に向かって兵士の士気を高めます。何を言ってもやる気がなく、言うことを聞かない兵士がいたら、イメージの中で一度エネルギーに戻してから、再度兵士に加えました。
曖昧だった職場でのヒエラルキーも整えました。上司に稟議書を出す時に、表向きは「お願いします」と言いながら、心の中では「忙しいなかで作ったんだから、早くハンコを押せよ」と上司を見下していた自分に気づき、「上司は内容を確認し、責任を持って判断を下しているのだから待ちなさい」とチャイルドを諭しました。
こうして深層意識の中でチャイルドの統制が取れてくると、それに呼応して職場でもチームの統制を取るのがとても楽になってきました。これまで他部署へ依頼して1月半ほどかかっていた仕事でも、1週間くらいで仕上がるようになったのです。
昇進して年収も増えて億の予算を獲得! / 部署でNo.1を目指したい
大きな予算を投じて始まったプロジェクトが、当初の目標を達成できないとわかった時も、頭を抱えるどころか、別のアイデアが出てきました。その結果、導入した設備や研究開発プロセスをそのまま活かして、目標を大きく上回る成果を出すことができました。この経験から、未来のビジョンがあり、正しい道を進んでいれば、予想もしなかった形で成功が手に入ると実感しました。
また、リーダーシップコースで学んだ内容をベースに、脳に成功する要素を埋め込むと共に、人を変える魔法で自分を変え、人を変えることで、潜在能力の加速を図ることができるようになりました。
昨年、研究開発部署でNo.2のポジションに昇進して、年収も一桁増えました。他部署との交渉もスムーズに進むようになり、社内審査もクリアして、1億円という高額な予算も獲得することができました。
現在では、部下の適性をふまえて、彼らの望むキャリアに対して未来像を描き、そのための道筋を、会社の事業方針に沿った開発計画に組み込むことで、確実に部下が実績を上げられるようになりました。なかには海外での学会発表を希望する部下もいますが、目標を達成できるように具体的な支援を行っています。彼らの成長が、私自身の評価にもつながり、結果として、これまで以上の豊かさと成功を手にすることができるようになったと言えます。
この先、私は研究開発部署のトップを目指したいと考えています。そこではどのようなビジョンが見えるのか、見てみたいのです。そのように次のステージに進みたいなら、チャイルドの修正が一番の近道だと思っています。最小の労力、最小のコストで、最大のリターンが得られるからです。
私の部下を含めて、普段、顔を合わせる社員については、私の深層意識を変えることで、ある程度、自在に相手を変えられるようになってきましたが、同じフロアの他のグループでは、まだ目につくことがあります。それに関して、さらにチャイルドの修正をしていけば、いずれ次のステップに行けるのではないかと考えています。
これまでの私は、ただ無事に一日を終え、何事もなく家に帰れることだけを願い、失敗の原因が自分にないことを祈るような、そんな逃げと回避の人生でした。そこから間違った思い込みを変えていくと、私の中には新たな勇気が芽生え、改革への一歩、挑戦への一歩を踏み出すことができました。その結果、想像もしなかった未来へ向かって歩み始めています。ここまで導いてくださった講師の先生方に、心からの感謝を込めてお礼申し上げます。
*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
*謝罪ワーク:イメージのなかの相手に向かって土下座するワーク

2025年10月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子