深層意識の修正で、挑戦できる自分に変化! サービス拡充して新築移転した動物病院が「予約が取れない」と評判になり、書籍も上梓!

自己肯定感を上げて、スタッフを育て、将来の目標を掲げると、動物病院が新築移転することになり、書籍も出版したという髙野宜彦さんからお聞きしたお話です。

 獣医師・動物病院院長
髙野宜彦さん
埼玉県在住

王様気分でいたことに気づいて

――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください

獣医師として動物病院を開業して、7年ほどが経った2020年のことです。スタッフの能力向上を目的に、外部のコンサルタントに研修を依頼しました。スタッフには変化を求めながらも、その実、私には「現状のままでいい、変わりたくない」という思いが根強くありました。コンサルタントとの会話の際に「でも」「だって」といった反論や言い訳が多いと指摘を受け、「前に進みたい」という理性と、「現状に留まりたい」という感情が葛藤している状態であると見抜かれたのです。

一度、フラクタル心理学の講座を受けてみるといいと勧められ、翌2021年、マスターコース入門講座を受講しました。講座で特に腑に落ちたのは、「360度自分」という考え方でした。他者に対して感じている価値観や評価も、結局は自分の内面にある基準から生まれていて、それが他者に投影されているに過ぎないという認識は、私にとって非常に衝撃的でした。この気づきを得て、入門以降も継続して受講することにしました。

医院では獣医師は私一人でしたので、看護師の適格なサポートが必要でしたが、特に若い看護師の手際の悪さや知識の浅さに対して苛立ちを覚えました。フラクタル心理学の観点からすれば、若いスタッフも私自身の投影となり、未熟だと感じるならば、その状況を改善する責任は、すべて私にあることになります。

冷静に考えれば、若い看護師は経験が浅く、できないのは当然のことで、本来ならば、院長である私が一つひとつ丁寧に指導すべきところを、育成はすべて先輩看護師に押し付けて、人任せにしていたことに気づいたのです。

――ほかにも気づいたことや考え方を変えたことはありますか?

途中で、ビジネスの成功に特化したMBIP(マスターブレインインストールプログラム)を受講しました。そこで、「成功できていないのは行動しないから」と学び、「もっと行動してみよう」と、異業種交流会に参加するようになりました。そこで、経営者の方々が常に売上と利益を意識した経営を行っていることを肌で感じました。

これまでスタッフには「患者さんの役に立ちたい」「犬猫を健康にしたい」という理念を共有してきましたが、「診療報酬や利益を意識しよう」と言うように変わりました。突然「数字」の話に切り替わったことで、スタッフは戸惑い、私の意図について来られず、職場にぎくしゃくした空気が流れるようになりました。

獣医師として一人で切り盛りしてきたため、知らず知らずのうちに「私に従え」といった調子になっていたのでしょう。このような「王様気分」から脱却しなければ、スタッフとの信頼関係は築けないと悟り、講座で習った次のような修正文を自分の深層意識に言い聞かせるように読み始めました。

「いつまでも王様気分でいるのはやめようね。今のままではスタッフはあなたの思うように働いてはくれないよ。みんなできる子たちだから、焦らずに個性を認めて育ててあげようね。そうすれば、あなたの仕事が減って、本当にやりたいことに集中できるようになるよ」

自己肯定感を上げて、診療報酬も上げることに

中級講座で、「しっかり仕事をしているのに、自分を認められず、自己肯定感が低いのではないか」と講師から指摘されました。確かに、自分の仕事に対する評価が低いという意識は常にありました。続けて受けたリーダーシップコースで、講師から「みんな私の味方、みんな私のファン、みんな私のことが大好き」と唱えると良いと教えられ、毎日、夜唱えるようにしました。すると、徐々に気持ちが上向きになり、自分自身を肯定的に捉えられるようになったのです。

これまで私には、「安く診てあげることが正義」とした価値観がありました。心臓病などの循環器系疾患を専門として、他の動物病院では対応が難しい高度な診療を提供していながらも、診療報酬を上げずにいたのです。

講座で、「自分ができることや提供した価値に対して正当な対価をいただかないことは、自分の価値を不当に下げることになります」と講師から指摘され、知り合いの経営者の方からも同じようなことを言われました。これを受けて、自分の専門的価値を認め、診療報酬を適正に改定しました。その結果、自己肯定感の低さも解消に向かったと感じています。

中級講座の5ヵ年計画のワークでは、売上げアップや病院の移転を今後の目標として書きました。当時の年商は動物病院としては十分な水準にありました。人は安定を求めるもので、私自身もそのコンフォートゾーンに留まる選択をしていたのです。

しかし、今のままではスタッフの待遇改善も患者さんへのより質の高いサービスの提供にも限界があると感じ、現状維持ではなく、病院を大きく成長させることを決意したのです。

――周りの人への思いで変わったことはありましたか?

上級講座で、父に対する長年の思いを振り返りました。父は、母や祖父母に対し、自分の意見を強く主張しない人でした。その姿を「男性として情けない」と思ってきました。

講座で父の思いを深く掘り下げていくと、父は子育てに励む母を労り、跡継ぎとして祖父母を立てるという配慮をしていたことに思い至ったのです。さらに、直接父に「なぜ私を叱らなかったのか」と尋ねると、「お母さんからだいぶ叱られていたから、私まで怒ったら、お前の行き場所がなくなるだろ」と言われました。父はとても愛情深い人だったのだと知りました。それにもかかわらず、長年勘違いしていたことを心のなかで謝りました。この出来事を機に、父への認識は180度変わり、尊敬の念と、両親への感謝の思いが深まりました。

父のあり方を理解したことで、スタッフへの接し方も大きく変わりました。それまでは、母のやり方でスタッフを叱ることが多かったのですが、父のように相手を尊重し、見守ることができるようになってきたのです。

また、スタッフを集めて、これまでの対応についても謝りました。急に売上げなど数字の話をしだしたこと、独りよがりな思い込みでスタッフの評価をしていたこと、また「スタッフを第一に考えている」と言いながら、困っている患者さんを勝手に受け入れて、私の仕事のスタイルにスタッフを巻き込んでいたことなどです。考えのズレや勘違いが生じていたことについては、それぞれの意見や思いを率直に伝え合いました。

すると、スタッフにも変化があらわれました。これまでの慣習を見直して業務を改善したり、自ら勉強を始めたり、積極的に私に質問してくるようになったのです。私が直接指導する機会も増え、私とスタッフとの間にあった心理的な壁は徐々に解消されていきました。

スタッフが自主的に病院のことを考えて動いてくれるようになった一方で、この変化についてこられないスタッフは退職していきました。そのスタッフたちには、私自身の内面に潜んでいた怠慢な思いや、責任回避の意識が投影されていたのかもしれません。彼女たちが退職したことで、私自身のそうしたネガティブな部分も薄まったように感じました。

病院の雰囲気は一変し、診療効率も大幅に向上しました。その結果、目標とした年商をわずか2年で達成することができたのです。

新しく土地を購入して新築移転する

――ほかにも達成できたことはありますか?

不動産業を営む患者さんから、現在の病院から約1kmの距離の角地という好立地を紹介していただきました。隣に郵便局、斜め向かいにコンビニ、駐車場の先にドラッグストアと、人が自然と立ち寄る利便性の高い場所です。予定よりも広い土地でしたが、思い切って購入して、2階建ての新たな動物病院を建てることを決めました。

2024年、5ヵ年計画で書いた移転の目標を達成することができました。獣医療と動物に関わることをすべて病院内で完結できたら最高だと思い、1階は診療室にして、2階にトリミング専用ルームを設置してサービスを強化し、さらに、スタッフや飼い主さん向けの勉強会や、外部トレーナーを招いた子犬のしつけ方教室を行うセミナールームも完備しました。駐車場の隣には小型犬専用のドッグランも設け、地域コミュニティの拠点となることを目指しました。

移転後、既存の患者さんはもちろん、新規の患者さんもたくさん来ていただき、「予約の取れない動物病院」と評されるまでになりました。ありがたいと思いつつ、獣医師を増やすことが課題となりました。現在、看護師6名、トリマー3名の体制ですが、5年以内に獣医師を3名増員するという目標をたて、これを実現させたいと考えています。

『わんわんキャラナビ』を出版 / 心臓の診断技術を看護師に教える

――新たに始めた活動などはありますか?

リーダーシップコースで動物占いの話を聞いたことがきっかけで、勉強して個性心理學の講師になり、地元で動物占いの講演会を開くことになりました。動物占いの12のキャラクターに愛犬の個性や性格分析を絡めて話したところ、参加された患者さんから好評でした。それがきっかけとなって、出版の企画にまで話が進み、2025年、動物キャラで愛犬の個性を分析する『わんわんキャラナビ』(日本文芸社刊)を共著で上梓しました。現在、病院を訪れる多くの患者さんが、この書籍に興味を持って購入してくださっています。

また、2023年に愛玩動物看護師が国家資格化されましたが、資格化されても仕事内容に大きな変化がなければ、離職率は改善しないのではないかと思いました。そこで、看護師のモチベーション向上と専門性の確立を目指し、近年増加している犬の心臓病に関する超音波診断技術の指導を始めました。診断は獣医師が行いますが、臨床検査技師のように、看護師が超音波による心臓の検査技術を習得し、検査業務を担当することで、看護師の技術力が上がり、自信にも繋がることでしょう。

この取り組みをFacebookで発信したところ、動物の循環器学会から注目され、全国の愛玩動物看護師を対象としたセミナーで、この検査技術を伝えてほしいという要請をいただきました。この看護師のスキルアップ支援を、今後のライフワークとして注力していきたいと考えています。

あの時、勇気を出してフラクタル心理学を学んでいなければ、新しいことにチャレンジすることなく、自分を押し込めて、どこか満たされない日々を送っていたことでしょう。講座で学んだことで、凝り固まっていた思考や行動が解き放たれ、まるで枝葉が広がるように、病院の拡張、書籍出版という具体的な成果へと結びつき、人脈も広がり、経営の助言をしてくださる方にも恵まれました。そして、何よりも最大の財産といえるのは、困難に直面した際にも、自分の内面を探り、主体的に課題を解決していけるという揺るぎない力が身についたことです。この学びを活かして、これからもさらなる飛躍を目指して、挑戦を続けていきたいと考えています。

2026年1月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子