
マイナスな出来事の原因となった深層意識の思いを変えていくと、すべてが好転し始めたという、まるもとよしこさんからお聞きしたお話です。
飲食店経営 フラクタル心理カウンセラー
まるもとよしこさん
兵庫県在住
弟の認知症の症状がなくなる
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
25年前、私は兵庫県内でコンビニエンスストアを3店舗経営し、年商5億円を売上げ、成功を謳歌していました。そんななか、相手方の過失による交通事故に遭い、高次脳機能障害を負いました。同時期に夫の会社も倒産し、1億円以上の負債を抱える事態となり、結果として、経営していた3店舗すべてを手放し、夫とも一時期別居することになりました。
その後、高次脳機能障害に悩まされながらも、派遣とコンビニバイトで1000万円を貯め、症状がほぼなくなった10年前に再起を期して持ち帰り専門の海鮮丼店を立ち上げました。幸いにも事業は軌道に乗り、店舗は3店舗へと拡大、年商も1億円を超えるまでに成長しました。ところが、2022年の秋頃から、値上げをきっかけに売上が下がり始めたのです。
一方、私には2歳年下の弟がいますが、5年ほど前に50歳で病気による早期退職後、飲酒量が増えて、やがて日常生活にも支障をきたすようになり、アルコール性認知症と診断されました。シャツの着脱すらままならない弟を一人で支える母の姿に、私は焦りと無力感に苛まれ、この状況を何とかしたいという思いから、2023年の夏よりフラクタル心理学の講座を学び始めました。
初級講座修了後に一色真宇先生のブログ「フラクタル心理学開発者に人生相談!」を通じて弟のことを相談したところ、「現在の状況は、弟が生まれたときに、私は母に裏切られたと悔しい思いをし、弟を邪魔だと思って呪ったことに端を発している」との指摘を受けました。
それを踏まえて、フラクタル心理学のカウンセリング ラボで電話カウンセリングを受けると、心の奥深くに弟に対する恨みのような思いがあることに気づきました。すると、その約1ヵ月後、弟は通院の必要がないと判断されるまでに回復しました。この経験は、講座で学んだ「自分の深層意識が他者に投影される」という考えを、強く実感させられる出来事となりました。
働きたくない思いを修正する
――学んだきっかけと最初の気づきをお聞かせください
しかし、しばらくすると弟は再びアルコールに依存するようになり、呼吸困難で入院しました。退院時には禁酒を宣言したものの、帰宅したその日から酒に手を伸ばすという有様でした。
店は2店舗に縮小し、1店舗は独立採算制でスタッフに任せ、売上低迷を打開すべく昨年1月に、持ち帰り専門から店内飲食もできるように改装しました。人件費を抑えるため、社員やアルバイトを使わず一人で切り盛りすることにし、「これなら必ずうまくいく」と確信していたのですが、現実は厳しく、期待したほど客足は伸びませんでした。
なぜ店にお客さんが来ないのか? なぜ弟はアルコール依存から抜け出せないのか? その答えを求めて、フラクタル心理学の6ヵ月間の個人指導講座を受講することにしたのです。
同じ頃、これまで経験したことのない尿もれの症状が現れ始めました。決まって昼の2時と夜の8時、つまり「昼の客足が悪かった」「今日は売上が伸びなかった」と感じたタイミングで起きるのです。講師からは「尿もれは自己管理能力の低さの表れ」と指摘されました。さらに、「親に対して『どうにかしてほしい』『私はこんなに大変なのに』という思いを抱えている人は、自己管理が弱い傾向がある」と言われてショックを受けました。コンビニを経営していた頃には、多くのアルバイトや2千点に及ぶ商品を管理してきた自負があり、自分は管理能力が高いと思っていたからです。
サービス業では思うように席を外せないものですが、「暇で余裕があるならトイレに行けばいいのでは」と講師に促されて、確かにその通りだと思いました。自己管理ができていない自分を認めることは悔しくもありましたが、自分の身体は自分で管理しようと決意すると、不思議と尿もれの症状は治まっていきました。
振り返れば、幼い頃から身の回りのことを親に任せきりにしていた記憶があります。中学1年の途中まで母に髪を洗ってもらい、着替えさえ手伝ってもらうこともありました。大人になってからも、服を買いに行っても試着は億劫で、避けてしまうほどでした。
講師からは、「心の中に、母親にすべてをやってほしいと願うチャイルド*がいます」と指摘されました。それは言い換えれば、「働きたくない」「成長したくない」という思いでもあるというのです。私は自分を仕事好きの働き者だと思っていましたし、夫も同様です。弟も退職するまではよく働いていました。周囲にそうした人たちがいる中で、自分の中に「働きたくない」という思いがあるなど、想像できませんでした。
弟については、講師から「現状のままでいいという気持ちがあるから、会社で通用しなくなった」と言われていました。あるとき弟が「自分はもうこのままでいい」と口にしたのを聞いた瞬間、これが私自身の本音で、「成長したくない」という思いの表れだと気づき、講師の言葉をやっと腑に落とすことができたのです。
それ以来、私は自分の深層意識を変えるため、「このままでいいと思うな」「自分が正しいをやめろ」「もっと働け」と、アファメーション*を繰り返し自分に言い聞かせるようになりました。
親への依存心と、自分でつくった歪んだルール
――根本的な原因がわかってきたのですね?
個人指導講座は継続して受講し、二期目にも進みました。これまでの学びを通して、身体の不調も弟の問題も、すべて自分の深層意識にある「親への依存心」に起因していると理解できましたが、さらに指導を受けるなかで、かつて自分が遭った大きな事故の原因も、同じところにあるとわかりました。
講師から「本当は親にすべて面倒を見てほしいのに、それが叶わない。その思いを『お母さん、私を見て。こんなに大変なのよ』と示すために、事故を引き起こしたのではないですか」と指摘されると、反発を感じることもなく不思議と納得できたのです。深層意識のなかの私は、想像以上に依存心が強く、そのためなら自分を傷つけることすら厭わなかったのです。
さらに、過去の事故について誘導瞑想を受けた際に、もう一つの気づきがありました。講師の導きで目を閉じると、幼い頃の情景が浮かび上がってきました。無邪気に遊んでいると、突然父に大声で叱られました。その瞬間、「夢中になって楽しんでいると、悪いことが起こる」という思いが強く心に刻まれました。
しかし、その場面を少し巻き戻してみると、父は事前に「もう遅いから早く寝なさい」と注意していました。私はそれを聞き入れず遊び続けていたために叱られたのです。つまり、話をきちんと聞いていなかったことが原因だったにもかかわらず、「叱られた」という結果だけが強く残り、「夢中になって楽しんでいると、悪いことが起こる」という歪んだルールを、自らの人生に組み込んだのでした。
振り返れば、コンビニ経営が順調だった絶頂期に事故に遭い、売上好調だった飲食店が突然の低迷に見舞われ、それが三年も続いていました。この人生シナリオを書き換えない限り、低迷から抜け出すことはできないでしょう。そう考えて私は、過去の思い込みを改めるべく、本来は父の言葉に耳を傾けるべきだったこと、きちんと聞いていれば不必要に叱られることはなかったことを、自分の深層意識に繰り返し伝えました。そして、「自分が正しいと思い込むのをやめ、人の話をきちんと聞きなさい」というアファメーションを続けました。同時に、講師からいただいた修正文も、深層意識に浸透させるように何度も読みました。
「生まれてしばらく周りからチヤホヤされたから、自分は偉いと思ったんだね。私のほうが偉いのだから、親の言うことなんか聞かなくていいと、親の注意を蔑ろにしてきたね。あなたは間違っているよ。そんな態度だから、周りから学べなくて、悪いことが起こったんだよ。それがわかったら親に謝りなさい。人に世話させようとせず、自分で全部やりなさい」
低迷していたお店の売上が上がり始める
――修正などにより変化したことはありますか?
私が修正やアファメーションを始めておよそ2ヵ月が経った頃、弟に変化が現れました。実家は兼業農家ですが、一昨年に父が亡くなってから、畑はすっかり荒れていました。それを、弟は毎日のように畑に行き、草取りをしながら丁寧に整えるようになったのです。
さらに驚いたことに、店の売上がある日を境にそれまでの平均の20パーセントも上がったのです。4日間連続で大きく伸び、その期間は毎日1時間半の残業が必要になるほどの忙しさでした。その後も、雨の日や大雪の日でさえお客さまが途切れることはなく、通常であれば閑散とする祝日も賑わい、月の平均売上も着実に上昇していきました。加えて、独立採算で任せているもう一店舗の売上も同様に伸びていきました。夫に確認すると、夫が社長を務める企業コンサルタント会社の売上も大きく伸びていたのです。
また、母にも変化がありました。父の死後、母は突然耳が聞こえにくくなり、会話にほとんど参加できない状態でした。しかし私が「人の話を聞け」とアファメーションを行うと、次第に聞こえるようになり、自然に会話ができるまでに回復したのです。
これらの出来事を一色真宇先生のブログで報告したところ、『人生乗り換えの法則』(講談社刊)175ページに掲載された「仕事の思考」「遊びの思考」の図を用いて解説してくださいました。それによると、私のなかには「どうして私ばかり」「どうせうまくいかない」という怒りや諦めの感情があり、それを弟に投影したため、弟がそれを引き受けることで私が働けていたのだそうです。その状態が修正されたことで、これまでの努力に見合う結果を受け取れるようになったということでした。
私が深層意識をマイナスからプラスへと変えていくにつれ、自分のなかの「遊びの思考」が減り、弟に投影していた同様の思考も消えていきました。その結果、「仕事の思考」が増え、店の売上が伸びていくという、まさにこの図の通りの現象が現実に起こったのです。
――活動や気持ちの変化についても教えてください。
お店の売上が上がり、忙しくなってくると、いつの間にか修正を行わなくなっていました。すると、不思議なことに売上も徐々に落ちていったのです。そこで、通勤電車の中でスマートフォンを見ながら修正文を読む習慣をつけました。そのおかげで、売上は安定して高い水準を保てるようになっています。
この実体験を、同じように悩んでいる方に伝えたいと思い、フラクタル心理カウンセラーとして収入がアップする講座も始めました。私が受けた指導と売上が上がった経験を元に、マイナスに傾いているエネルギーを生産的なプラスのエネルギーへと転換させる具体的な方法をお伝えしています。その結果、収入が増えた、給与が上がったというご報告をたくさんいただいています。
これまでの私は、歪んだ人生シナリオを持っていたために、商売がうまくいけばいくほど不安になりました。しかし、そのシナリオを書き換えたことで、今では生きることそのものを心から楽しめるようになりました。
また、弟が病気になったときや売上が落ちたときも、個人指導の講師に相談できる環境があったことは大きな支えでした。途中、辛さから弱音をこぼした際には、「『辛いです』というのは、結局『怠慢』なんですよ」と厳しく指導を受けたこともありました。フラクタル心理学で「自分でつくった現実は、自分の力で変えることができる」と学び、そうであるならば、変えることに力を注ぐしかないと思い直して、前を向くことができました。時に厳しくも真摯に向き合ってくださったご指導に、今はただ感謝の思いしかありません。

*チャイルド(インナーチャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
*アファメーション:自分に言う短い言い聞かせの文章
2026年7月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子