深層意識の「母への勘違い」を正し、世界に広がる未来を思い描くようになると、百貨店のパン祭りに初出店して、全国から声がかかるようになったという澤田さんご夫妻からお聞きしたお話です。
代表を務める2つのまちづくり活動が、地域文化を活性させたとして賞をいただいたり、NHKで取り上げられたりしました
澤田 基さん かなこさん
北海道在住
フラクタル心理学との出会いで母に謝る
かなこさん 父が亡くなり、実家のパン屋が閉店した2年後に、これからパン屋を開業しようという人と偶然出会って、3ヵ月も経たずに結婚しました。すぐに妊娠しますが、夫婦関係はギスギスしていたので、知人のフラクタル心理学の先生の個人セッションを受けました。「夫が私の言うことを聞かないんです」と訴えると、「それは全部あなたが原因です」と思ってもみないことを言われたのです。
深層意識のなかに「上の人を見下す」意識があるために、母を見下し、また、夫のことも見下しているのだといいます。「まずはお母さんにごめんなさいと言うところからですね」と教えられて、とにかくやってみようとしますが、最初は母を前にして言葉が喉につまりました。それでも、3ヵ月の継続セッションのなかで、少しずつ母に謝れるようになると、生まれて35年間続いた母との苦しい関係が激変して、夫との仲も良くなっていったのです。
私は5人姉妹の長女で、両家の初孫として生まれました。妊娠、出産を繰り返す母の代わりに、小学生のころから家事をして、妹たちの面倒も見ていたので、みんなが私に従うのは当然とばかりに、家族に君臨していました。こんなに偉い私を、母は認めていないと不満に思ってきました。
大人になって勤め始めると、推進力があるなど良い面も出ていましたが、自分が認めてもらえないと感じると、そのことへの怒りや不安も強く、反対に自分の傲慢さに気づいて自己嫌悪に陥るなど、バランスの悪さに自分でも手を焼いていました。
その後、仕事を辞めて夫のパン屋を手伝うことになると、以前のカウンセリングを思い出して、夫に「ハイ」と言えなくては、夫の下では働けないと思い、家族関係コースとマスターコースを受講することにしたのです。
勘違いを正して自分を認める
かなこさん 講座では、「母が『あの子はこういうところが良いよね』と妹を褒めると、自分が全否定されたように感じる」という話をしました。その思いの原因を見るために誘導瞑想をすると、「母はどうせ私を見てくれない。妹のほうがかわいいんだ。妹はずるい」「だったら、私はもっと母にアピールする。妹のダメなところを母に教えて、私を認めさせてやる」という思いが出てきました。
それを講師に伝えると、以下のような言葉(修正文)を自分の中のインナーチャイルド*に言っていただきました。
「あなたはずっと両親を独り占めして、幸せだと思っていたんだね。妹が次々に産まれて絶望したね。悔しかったね。苦しかったね。でもね、妹を欲しいと思ったのはあなただよ。同じことをして妹が褒められて、あなたが褒められないとか、妹の世話をしているのにあなたを見てもらえないと悔しがるのは勘違いだよ」外側の私はクールに受け止めたつもりでしたが、心の奥深くでチャイルド*の私が泣いていました。突然、身体が震えだして、嗚咽とともに涙が流れ落ちたのです。自分の思いに共感してもらえたことで、チャイルドは癒やされ、長年苦しんできたのはただの勘違いだったと知りました。
それからは、チャイルドの勘違いを正して、深層意識を変えるための修正文をつくり、自分の心に言い聞かせるようにしました。「まわりは正しい」「他人が思い通りになると思うのは止めなさい」「人を見下したり、『できない』と自分をわざと下げて、注目されるのではなく、能力をつけて注目されなさい」と紙に書いて、台所やお風呂場の脱衣所など目につくところに貼りだして、ことあるごとに読みました。
常に目にしたことで、深層意識に伝わったのでしょう。「お姉ちゃん変わってくれてありがとう!」と、末の妹に泣かれたときには、いつも母に張り合うようにして、家庭内に穏やかならぬ空気を漂わせていたことを、心から申しわけなく思いました。
リーダーシップコースを受講
基さん 妻の態度が変わり、お母さんとの仲もどんどん改善されていくのを見て、昨年8月、函館で開かれたリーダーシップコースを受講しました。
講座のワークで「幸せとは?」「豊かさとは?」とそれぞれの定義を明確にすると、自分の方向性も明らかになってきました。
店の名が「ちいさなしあわせパン☆」というのですが、講師から「小さくなくてもいいんだよ」と言われたときには苦笑しました。野生酵母や、地元の小麦と水を継ぎ足して培養するルヴァン(発酵種)のパンなど、素材や作り方にこだわり、自分が作りたいパンを丁寧に作ってきたつもりでしたが、そこで満足してしまっていたのかもしれません。「制限を外せば、もっとやれることがあるな」と思えました。
未来瞑想のワークでは、原料から自分で栽培して、収穫、製粉を行い、パンにして売るまでがイメージでき、函館のパンを世界に発信していきたいと夢が膨らみました。
かなこさん 夫の話を聞いて、お風呂場に世界地図を貼りだすと、しばらくして私の前職の財団が留学生のホストファミリーを募集しているのを知り、夫も賛成してくれて応募しました。昨年夏の2ヵ月間は、アメリカのハーバード大学の学生のホストファミリーとなりました。彼は函館へ短期留学した学生のなかでMVP賞を獲り、学業も人格も優秀な学生として表彰されて、私たちも誇らしく思いました。
その他、秋には、私が代表を務める函館西部地区バル街での「きものdeバル」のイベントが、着物文化を日常に取り入れたことが高く評価され、地域文化を活性化したとして賞を受賞しました。また、同じく代表を務める、外国コインの募金を呼びかける「ハコダテだらせんプロジェクト」は、NHKで取り上げられたりしました。
東京のデパートのパン祭りに出店
基さん 私たちの意識が変わったからでしょうか。「ちいさなしあわせパン☆」にも今までにない話が舞い込みました。百貨店催事の企画担当者がお店に訪ねてきたことから話が進み、昨年11月には東武百貨店池袋店のパン祭りの催事に初出店しました。すべてのパンを生地から仕込むところからの実演販売は東武百貨店では初めてだったようで、1週間の催事で、リピーターのお客さまだけでも200名を超えるなど、大きな反響をいただきました。
これがきっかけで、全国の百貨店から声がかかり、3月には名古屋高島屋の催事に出店を予定しています。
最高のパートナーシップで夢実現へ
基さん 店ではパートさんも雇っていますが、妻がいると安心してお客さんの対応を任せられます。上手にお客様の意見も吸い上げてくれるので、パン作りや接客に活かせています。
かなこさん フラクタル心理学を学んだことは、5歳と1歳になる子どもたちの子育てにも役立っています。中級講座で「成功した私」を発表するワークがあり、そこで、「すべて得ると決める」「子どもをあと2人産んで、夫も支えつつ、自分の活動にも力を入れる」と宣言しましたが、その方向で進んでいけているように思います。
基さん 二人でフラクタル心理学を学んだことで、とにかく何でも語り合えるようになりました。そして、お互いに協力しあい、高めあえるパートナーシップを築く自信ができました。夢も共有しながらひとつひとつ実現していきたいと思います。
*インナーチャイルド(チャイルド):深層意識のなかの成長しきれていない未熟な一部
2020年3月発行TAWプレスに掲載
文:(株) Mamu&Co. 藤田理香子